ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File089】カチンの$Xのエニ′Fさん・・・【ネタバレ警報/中編】
古来より政治や軍事の世界においては、他者に知られると都合の悪い通信を伝達する為に暗号≠ニ言う手法を用いて来ました。某辞書によれば暗号とは通信の内容が、当事者以外には解読できないよう普通の文字、記号を一定の法則で他の記号に置き換えたもの≠ニ定義されています。他人に読まれても何の事が書いているか解らないが、通信相手は一定の法則に従って読めば、その意味を理解出来る通信文・・・それが暗号≠ナす。さて暗号≠ヘ、大きく二種に分類できます。その@・・・予め発信する通信文章と、その内容・意味を取り決めておき、通信を受信した段階で、その内容に従った行動を起こしたり、結果を判断するもの・・・有名なものには真珠湾攻撃時に日本海軍が使用した新高山登れ一二○八▼・・のように日米交渉決裂と開戦日を南雲機動部隊に伝えた暗号や、奇襲成功時に総飛行隊長淵田中佐より発信されたトラトラトラ=我レ奇襲ニ成功セリ″Xにはノルマンディー上陸作戦時に、仏国内抗独レジスタンスに反攻開始を伝える為、BBC放送の電波に乗せて流された詩文秋の日のヴィオロンの溜息の、身に染みてひたぶるにうら悲し≠ネどが有名ですな。これらは『トラ・トラ・トラ(1970)』や『史上最大の作戦(1962)』の作品中で観る事が出来ます。この種の暗号は、暗号の意味を知っている者が敵に捕われ自白した場合でなければ、容易にその意味は解読されません。反面一定の意味や内容しか伝えられない、と言う欠点もあります。『史上最大の作戦(1962)』では、暗号の第二章身に染みてひたぶるにうら悲し≠ェ放送された時点で24時間以内に反攻が開始される≠ニ独軍に解読されていました。ただこれは頻繁に飛び交う連合軍通信を傍受した結果から独軍が導き出した結論で、その他の重要情報・・・例えば上陸地点はどこか・・・までは特定出来ていません・・・上陸地点を巡る諜報戦を描いた作品としては『針の目(1981)』『コードネームはエメラルド(1985)』『36時間(1964)』などが有名です・・・。そのA・・・一定の法則にしたがって通信文章を全く異なる文章または全く意味の無い文字や数字、単語の羅列に変換して発信、受信側が同じ法則に従がって翻訳する・・・。例えば『ウィンド・トーカーズ(2002)』で描かれたナヴァホ族の言語のように、一般に余り知られていない言語を使用する方法。この方法は古来よりかなり使用され、特に少数民族の言語が適していました。しかし長期間多用していると、何時かは何の言語か判読される怖れがありました・・・。最も一般的な暗号としては、古代ローマで既に使用されていたシーザー(カエサル)暗号≠ニ呼ばれる暗号があります。これは文字の配列を変える∞文字の順番をずらす∞文章から一定の間隔で文字を抜き出す%凵A比較的単純な規則性・・・ABC・・・→ZYX・・・≠竍A→B・・・Z→A≠ナ変換したり、意味のない文章から○(数字)文字置きに文字を抜き出し繋ぎ合わせる・・・に従って作られた暗号です。古代ギリシアでは、棒に巻きつけた紐に文字を書き込み、受信者が同じ太さの棒にその紐を再び巻きつけて文章を復元する方法も行われていました。しかしこのシーザー(カエサル)暗号≠熬キ期間繰り返し使用していると、その規則性が見破られ解読される危険性がありました。そこで考案されたのが、もっと複雑な文字の変換方法・・・A→K∞B→D≠竍DHRF→A∞2568→A≠ネどの様に全く意味のない文字や数字の組み合わせを決めておき、それを使用して通信をやり取りする方法です。しかしこれでは余程記憶力があっても、全ての組み合わせ方式を記憶するのは不可能・・・そこで暗号コード表≠竍乱数コード表≠ニ呼ばれる変換規則のパターン表を基にした送受信が行われるようになります。戦争映画やスパイ映画では暗号コード表≠竍乱数コード表≠フ争奪・奪取が良く描かれていますね。また日付や時間によって文字の組み合わせパターンを変えたりDHRF→A→K≠ニ言った様に、変換組み合わせを二重三重に行う事により機密性が高められました。第一次大戦が起こり大量の暗号が使用される様になると、暗号担当者が通信文≠ニ暗号コード表≠竍乱数コード表≠いちいち見比べながらでは大きな支障が出る様になります。そこで暗号機∞暗号解読機≠ニ呼ばれる、機械的に暗号の作成と解読を行える機械が製作されました。これらは文字の変換を変換端子盤≠フ組み合わせによって簡単に行える様に設定されていました・・・例えば5月31日付の変換パターンで設定すればA→K≠ナ変換表示されますが、6月1日付のパターンで設定すればA→F▼・・と言った具合です。要するに、この変換端子盤&舶ェが複雑な程、解読され難い暗号が作成出来る訳です。こうした原理を基に試行錯誤が繰り返され、遂に敗戦後のドイツ共和国において、世界最高と言われる暗号機が発明されます・・・その暗号機の名はenigma=エニグマ(ラテン語)▼・・名前の意味は、ズバリ謎▼・・でした!

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06月04日(水)
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