ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File069】堕戦士たちの魂の最後の城▼・・後編【ネタバレ警報】
古来より旗≠ヘ国家や集団、権威や名誉を顕すものでした。兵士たちは、自らが所属する国家や軍隊の旗≠フ下に死力を尽して戦い、占領された地には占領軍の旗≠ェ支配の象徴として靡いていました。戦闘によって敵の旗=軍旗≠奪取することは栄誉とされ、逆に奪われる事は最大の恥辱でした。時代が進むにつれ、この傾向は薄れて行きますが、日本陸軍の軍旗=連隊旗≠ェ持つ意義は、この西洋の伝統をより一層強めたものでした。作品中での旗≠ヘ刑務所内の掲揚台の支柱で靡く星条旗≠ナすが、これは兵士たちの忠誠心≠フ象徴として描かれています。またウィンター所長にとっては権威≠フ象徴でもあります。囚人たちによる暴動の最終目的はウィンター所長の解任・・・待遇の改善≠ナあって国家への反逆≠ナはない事を示す為に旗≠ェ重要な役割を果たす事になります。実は国旗を逆さま≠ノ掲揚する事には救助依頼≠フ意味があるそうです(日の丸は一体どうするんだ?)囚人たちは、国旗を逆さまに掲揚する事で、自分達が国家に対して反逆心の無い事を示そうとします。ラストシーンで目的を達成した囚人たちが整列する中、アーウィン元中将は、拳銃を構えたウィンター所長の制止を振り切って星条旗≠掲揚します・・・そして木霊する銃声・・・掲揚台の頂上で逆光の中たなびく星条旗≠フ向きは果たして・・・満足げな表情を浮かべ息絶えるアーウィン元中将・・・彼はやはり国家に忠誠を誓った兵士≠セったのでした・・・敬礼。

【久しぶりに良い映画観させて貰いました・・・でも】
この作品の監督ロッド・ルーリーは、実際に米国陸軍士官学校ウェストポイントを卒業し軍務に服した経歴をもった異色の監督です。この『ラスト・キャッスル』が監督二作目。一作目「ザ・コンテンダー2000」はアメリカ初の女性副大統領誕生を巡るポリティカル・サスペンスドラマの佳作で、監督自ら脚本も担当しています。監督自身が軍人の経験を持っているため軍人=兵士≠フ描き方に拘りが観られるのでしょうか。この『ラスト・キャッスル』は、ATF的には非常にお気に入りの作品なのですが、時間が経つにつれなんで?≠ニ思えるような演出に幾つか気付きました。まあ誉めるばかりじゃ何なので、最後にちょっと書き込んでおきます。
@なんで四軍ごちゃ混ぜなの・・・
ご存知の通り、アメリカ軍は陸軍、海軍、空軍、海兵隊の四軍から成り立っています。見方によっては海兵隊を海軍の管轄下として考える場合もありますが・・・。少なくとも陸軍と海軍は独自の捜査・司法組織(以前テレ東で放送されていた「ネービーファイル(原題:JAG)」では海軍と海兵隊所属の兵士に関する捜査・弁護する組織が描かれていました)を持ち、刑務所も独自で管理していたように思っていたのですが?実際はどうなのでしょう。この作品の舞台となっている軍刑務所には陸軍以外に海軍や海兵隊の囚人も収監されていました。
Aなんで将官が一般兵士と同じ雑居房なの・・・
普通捕虜収容所では、士官と下士官兵は別々の場所に収容されています。士官は紳士である≠ニ言われるように待遇が差別されています。作品中、囚人はアーウィン元中将以外ほとんどが一般下士官・兵士です。一部に士官と思われる人物・・・軍医やヘリパイロット(最低階級は准尉=准士官)は登場してますが、主要登場人物には、他に佐官とか尉官らしい人物は登場しません。例え同じ軍刑務所内に収監されたとしても、元将官が一般兵士と同じ雑居房の中に収監されたりするのでしょうか・・・?
Bなんで反発(裏切)する囚人がいないの・・・

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12月01日(日)
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