ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File045】記念連続ドラマ第二夜「プライベート・ライアンとヌーヴィルの雨」 前編
オマハ海岸での戦いは一段落し、揚陸艦群からは次々に後続部隊や兵器、物資が陸揚げされ、海岸の橋頭堡は続々と拡張されていく。前線での掃討戦から呼び戻されたミラー大尉が浮かない顔で、沿岸砲台に設置された第2レンジャー大隊の戦闘指揮所へとやって来る。そこでは、司令部要員たちが、熱いお湯で髭を剃り、温かいコーヒーとベーコンたっぷりのサンドウィッチを頬張っている・・・こいつ等何様だ・・・前線じゃ今でも戦闘が続いてるんだぞ・・・俺も髭そりてぇ〜なぁ・・・沸き起こる怒りにも似た感情、何とか平静を保つと「ミラー大尉、出頭しました・・・」と申告をした。大隊長アンダーソン中佐は各隊からの報告を無線電話で聞いていたが、ミラー大尉を認めると受話器を置いた。「ご苦労、戦闘の状況はどうだ・・・」ミラー大尉は戦線の様子が書き込まれた地図上で状況を説明する。状況説明が終わると、アンダーソン中佐はミラー大尉の顔をじっくり見つめた。「ミラー、新しい任務だ。特別部隊を編成し、兵士を一人探し出してくれ」「どういう事ですか・・・」「兄弟全てが戦死した末弟を連れ戻すんだ。彼は101空挺部隊員として、○○○付近に降下しているはずだ・・・」ミラー大尉は一瞬困惑した。空挺部隊なんて、一端降下したら何処にいるかわからない。ましてやその中のたった一人の兵士を見つけるなんて、尚更だ。万が一戦死してたら如何するんだ。「針の山の中から針を見つけるようなもんだ・・・」しかし命令は命令だ。思いとは裏腹に、ミラー大尉の口から出た言葉は「了解しました。部隊を編成し、早速出動します」「宜しい、必要な車両と物資は準備する。兵員が不足なら補充しよう。作戦の詳細と最新の戦線情報は情報部で確認してくれ・・・」「兵員は我が隊の人員で充分ですが、フランス語とドイツ語を話せる通訳が必要です」「宜しい手配しよう」「それでは失礼します」「ちょっと待て」指揮所から立ち去ろうとしたミラー大尉をアンダーソン中佐が呼び止めた「言い忘れたが、この件に関しては他の部隊からも捜索隊が派遣される。君の部隊は我が師団の代表だ。他の連中に遅れをとるんじゃないぞ。」なんで、たった一人の兵士がそんなに重要なんだ・・・「大隊長、ひとつ質問してもよろしいですか?」「なんだ」「その兵士って大統領か上院議員か誰かの息子ですか?」「いや、俺達と同じ一市民さ」ミラー大尉は口をポカンと開けたまま立ち尽くしている「私や部下たちにも兄弟はいるんですがねぇ・・・」「文句は無し、上からの命令だからな。君の言いたいだろう事は、私も師団長に言ったよ・・・でも命令だ。そうだ、無事そいつを連れ戻したら、全員に10日間の休暇だ・・・それに・・・」胡散臭そうにアンダーソン中佐の顔を見つめていたミラー大尉「いやそれだけだ、成功を祈る」アンダーソン中佐に敬礼すると、ミラー大尉は納得行かない顔で戦闘指揮所を後にした。外では部隊No.2のホーバス軍曹が待ち構えていた。「中隊長、何の話でした・・・」「広報チーム活動の話だよ」「広報・・・なんです、それ」「兄弟が全員戦死した末弟の兵士を連れ戻す・・・戦意高揚の為の広報チーム活動さ」「やれやれ・・・」二人は、砲撃の跡の窪地を避けながら、部下達の待つ独軍陣地跡へと重い足取りで歩いていった・・・。
chap07.賞金(前編)
指揮所から立ち去るミラー大尉とホーバス軍曹の後ろ姿を見送りながら、第2レンジャー大隊長アンダーソン中佐はタバコを大きく一服吹かすと、傍らで無線電話で話していた副官の少尉に声を掛けた「賭けはどうなっている・・・」「エエ〜と、現在の賞金総額は5万ドルですね・・・」アンダーソン中佐は密かに微笑んだ・・・「ミラーは、ああ見えても優秀な将校だ。この賭けは、こっちが頂いたも同然だな・・・」(なんじゃコリャ〜松田優作風、一体どうなってるんだ・・・この話は)
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06月09日(日)
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