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あんた何様?日記
by 名塚元哉
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■ホワイトカラー・エグゼンプションで少子化対策?
誰でもが思いつくであろう単純な疑問を聞けない記者団は、

自分の職務を果たせていないと思います。

 そして、現在の日本が直面している少子化は、

労働時間の多さが原因という単純な問題だけではありません。

既婚者であれば、子供を育てる養育費のために

妻までパートに出て夫婦共働きで家計を助けたり、

夫婦共働きであっても、自分たちが生活するだけで精一杯と、

子供を育てる余裕が無く子作りを断念したり、

産婦人科や小児科の減少、共働き夫婦なら利用したい託児所の不足など、

子育てに不安を感じて子作りに躊躇している夫婦だっているので、

WCEの導入により、残業代が出ないので早めに帰宅して、

出生率の増加につながるという発想は、

あまりにも単純すぎる発想と言わざるを得ません。

 WCEの導入に反対の声が多いのは、

欧米に比べて、日本が検討しているWCEの定義があまりにも玉虫色で、

どうとでも好きに後からいじれるように作られている点です。

いわゆる普通の「正社員」は欧米では「ホワイトカラー」ではありません。

ですが、日本の場合は大半の「正社員」を「ホワイトカラー」と定義しようとしています。

日本と欧米の会社における労働の意識の違いを考慮にまったく入れていないのも問題です。

欧米は、「自分の仕事」の領域が完全に決まっていて、

それは犯されないし、また、そこからはみ出ることも許されません。

しかしながら、WCEを導入した諸外国の結果を見ると、

単位時間当たりの賃金が下がって労働時間が増えています。

労働環境が整っているヨーロッパでもそういう結果が出ているのに、

中間搾取やり放題の日本の労働環境では悲惨な結果になることも予想されます。

また、滅私奉公的精神の風土が根ざしている日本では、

「仕事」は皆(グループ)のものと考えられており、

「確認の仕事」が明確に区別されていない会社が多く、

結局、「自由裁量」による労働という概念が初めから存在しておらず、

裁量性なれば帰宅時間が早くなるわけでなく、

スケジュール重視のため終電上等になるケースが発生する

(ソフトウェア業界が既にこの状態)ことも考えられるので、

残業時間の規制とそれ以上働かせたら罰則という規定を盛り込んだ上での

法案提出なら反対の声も上がらないことでしょう。

ホワイトカラーは別としても先進国で残業時間の規制がないのは、

日本ぐらいではないでしょうか。

 また、安倍首相は既婚者のみを想定してWCEを語っていますが、

少子化の最大の原因は若年層の結婚率低下によるものであり、

未婚化は若年層の雇用環境悪化・生活の不安定化によるのが大きな原因の一つです。

収入は現状維持またはダウン必至と言われるWCE。

残業時間の規制もなく賃金の低下を招いていては、

既婚者の自由時間や家計を圧迫してしまったり、

未婚者はさらに結婚に対する意欲を削いでしまい、

少子化の対策に繋がるのは難しいのではないかと思います。



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01月06日(土)
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