ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『THE MOON』
『THE MOON』@新宿バルト9 シアター5

『THE MOON』観た〜 もうダメだー! なんとかなったー! が10回くらいあって129分ずっとハラハラ、かなり無茶なんだけど面白かった…あとドローンのことが大好きになります、タチコマみたい。マルちゃんとか呼びたくなる pic.twitter.com/exsU35UpNi— kai ☁️ (@flower_lens) July 7, 2024
それにしてもNASA(アメリカ)の扱い…因と縁つうか罪と罰というか、ってか『神と共に』の監督だったのね成程! という。いやーかなり無茶なんだけど(再)また観たくなるな…… pic.twitter.com/4Wn6NrhEs1— kai ☁️ (@flower_lens) July 7, 2024
ドローンにすっかり感情移入、タチコマみたいに喋ったりはしないんだけどね。だから尚更「が、がんばれ!」と拳を握る。お仕事を全うした最期にも涙。この子めちゃいい仕事したよね!

原題『더 문(ザ・ムーン)』英題『The Moon』。2023年、『神と共に』(『第一章:罪と罰』、『第二章:因と縁』)のキム・ヨンファ監督作品。新人宇宙飛行士ソヌがひとり月に取り残され、無事帰ってくる迄の話です。こういう作品だから生還しますってのはお約束、ネタバレしてもいいよね……。しかし! その帰ってくる迄が!! めちゃくちゃたいへん!!! 大丈夫大丈夫帰れる、と信じていてもめちゃくちゃ怖い!

ひとりだけ助かったという宇宙空間事故って、実際にはないよね多分。全滅するよね……。ないないない! という場面は結構あるのです。宇宙飛行士あんなにエモくなっちゃいけない。落ちついて行動しないと死ぬ。ドア開けようとしちゃいけない(開かないけど)。開けたら死ぬ。その「ちょっとでも○○○したら死ぬ」度が地上の比じゃないので、観てるこっちはあかんあかんあかん! やめてやめてやめて! とずっとドキドキハラハラしっぱなしです。宇宙空間の事故ってどんなホラーよりも怖いわワタシは……脱出イコール無事じゃないもん、酸素ないもん。圧力で潰れるもん。『ハイ・ライフ』でミア・ゴスがブラックホールに持ってかれるシーンとか夢に出たもん。

NASAが怒るのもむべなるかな。国家案件ですし。巻き込まれてウチんとこに迄被害及んだらたまらんのに情報迄漏らされたらもうね。統括ディレクター(キム・ヒエが『ユンヒへ』とは全く違うキャラクターを演じていて驚いた。格好よかった)がそんなことしちゃっていいの!? 大団円によかったねえと涙しつつ、あーこりゃ月から持ち帰った氷とかデータ全部アメリカに持ってかれるな、とスレた大人は思ってしまうのでした。ここらへん、韓国とアメリカの微妙な関係をうまいこと描いているなと感心した。

でもなんというか、この作品は「心情的に」という面から想像出来る要素が多いのです。ジェグク(前任センター長)の罪は重すぎるけど、現センター長の彼への態度(パク・ピョンウンの物語る表情!)には敬意が感じられた。それは何故か? 明かされそうで明かされなかった天文台のインターン(ホン・スンヒが好演)の過去。彼女の肝の据わり具合の根拠は? そんなあれこれを想像する。そりゃやっちゃダメだし無理なんだけど、彼らを理解したいという“心”を失っちゃいけない。そこをだいじにしたいんだろうなあと思いました。最低限の素材は出しておきましたので、やっぱ赦せない! とかそれでも憎めない! とか、観客がそれぞれ考えようねという余白がはしばしに残されていたのがよかった。

そこで思い出すのは、過去実際に起こったふたつの出来事。東日本大震災時、ディズニーランドのキャストがとった行動とそれに従った来場者。今年初めの羽田空港地上衝突事故で、キャビンアテンダントがとった対応とその指示を守った乗客。上からの指示を待たずに自らの判断で行動することと、助かるために全員が守らねばならないルール。ペットを置いて事故機を離れざるを得なかった乗客と、仲間の形見を身体に縛り付けて脱出したソヌ。独断で月を探査すると決めたソヌと、それに協力すると決めた宇宙センター……どちらも悪くない、どちらも間違っていない。でも、と考える心は残しておきたい。


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07月07日(日)
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