ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[647723hit]
■『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』、eastern youth『35周年記念巡業〜EMOの細道2023』
『PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ』@シネマート新宿 スクリーン1
昼はユリョンを観ましたよ シェイクスピアのモチーフが結構使われていたような、あとハナちゃんどうなったのー! エモがすぎる一日だった pic.twitter.com/M5t7KGVR0z― kai ☁ (@flower_lens) December 2, 2023
原題『유령(ユリョン=幽霊)』、英題『Phantom』。2023年、イ・ヘヨン監督作品。
えーと文末の輝国山人さんのサイトにもありますように、本国では興行的に大コケした作品だそうなのですが……や、面白かったです! でも、コケるのも解るようなところもありました。
登場人物皆が格好よくてスタイリッシュ、アクションも美術も衣裳もめちゃくちゃ豪華で見応えありました。舞台が日本統治下の1933年のため、台詞の8〜9割が日本語。出演者はめちゃくちゃ稽古したんだろうなあと感心してしまう。当時はそれが当たり前だったのだと思うと、正直観ているこちらは肩身が狭いです。関東大震災時の「十五円五十銭」のこととか思い出しちゃう。しかしなあ、こういう作品は日本でもどんどん公開すればいいと思う。なかったことにしてはいけないし、それが忘れられて「そんなこと本当にあったんですか?」という認識になるのは恐ろしいことです。という訳で地味に『軍艦島』が日本で観られる日を待っています(ツインが買っている)。
以下ネタバレあります。
つくりとしては『イングロリアス・バスターズ』です。そこへシスターフッドを織り込む。スパイ“幽霊”はひとりではなかった。彼女たちは手を取り合い、しかしひとりひとりで立つ力も持っている。出自や上下関係に捉われず、祖国のために闘う。なのでとにかく女性が格好いい。イ・ハニもパク・ソダムもアクションめちゃくちゃ出来るし、あと撮影監督(チュ・ソンニム)がめちゃくちゃいい仕事してます。アクションシーン、爆破シーン、銃撃戦のシーン。スローとクイックのテンポ。とにかく映える。
対して男性陣は、立場と血筋に拘るあまり自滅する。ソル・ギョングの逡巡が胸に迫る。パク・ヘスは憎まれ役に徹していて巧い。ソ・ヒョヌはコメディリリーフの役回り。ハナちゃん(猫)にごはんをあげるため、早く帰りたくて立ち回る姿がかわいい。
しかしなんというか、生真面目さと配慮が邪魔をするというか……『イングロリアス〜』のようにドイッチェは悪! 撲滅! バットで撲殺! とか迄振り切れないんですね。いや、わかる。いろいろある。時代もあるかな。今『イングロリアス〜』作れるかというと、それは難しいんじゃないかと思うし。いいたいことややりたいことが沢山ありすぎて、それを全部入れたら散漫になってしまったという印象もありました。冒頭に書いたシェイクスピアについては、ソル・ギョングをマクベスにもイアーゴにもリチャード三世にも投影出来るようになっていて非常に興味深いのですが、うーん、なんだろう。主役がいっぱいいすぎた感があり、しかし群像劇ではない。という、なんといったらいいのか…全体的にぼんやりした仕上がりで……。
結局観終わっていちばん気になったのは「ハナちゃんどうなったの!?」ということでした。ここもね、息抜きとしてはいいシーンだったのですが(ハナちゃんかわいかったし! 写真で出てきます)、何度も出して引っ張った割にその後ほっぽらかしにされたまま終わるので逆に気になるという。ハナちゃんが無事でいますように!
でもでも各シーンはすごく格好いいんです。衣裳も美術も映像も華やかで、格好よくて……役者は皆いい仕事しているし見応えありました。映画館で観てよかった! と思いました。
---
・輝国山人の韓国映画 PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ
いつもお世話になっております。今回パンフなかったので助かる!
・パク・ソダム、がん闘病から復帰まで…心境を明かす「少しでも遅かったら声を失っていた」┃Kstyle
『PHANTOM』撮影後、アフレコ中に診断が下りたとのこと。不調など微塵も感じさせない仕事っぷりでした。適切な時期に治療出来てよかったし、今のところ経過は順調のようでよかった
-----
eastern youth『35周年記念巡業〜EMOの細道2023』@Spotify O-EAST
[5]続きを読む
12月02日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る