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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その4
『FUJI ROCK FESTIVAL '23』2日目 その4
デイヴと再びハグし、アラニスは帰っていった。続くは伸びやかな「Learn to Fly」、そしてラミの荘厳なオルガンに乗せ、「みんなの声が聴きたい、知っている曲があったら一緒に唄ってほしい」と、テンポを落とした「Times Like These」。デイヴは日本ではいつもゆっくり、聴き取りやすい英語で話してくれる。彼の言葉を聴き逃さないよう、クラウドも静まり返る。そして、デイヴと一緒に唄う。舞台袖のスクリーンにクラウドの様子が映し出され、思わず後方を振り返る。暗闇の筈のエリアに、無数の明かりが星のように浮かんでいる。スマホのLEDだ。わぁ…(ちいかわ)となる。新譜からの「Under You」は(このアルバム全曲がそうではあるものの)明確にテイラーのことを唄っている。
テイラーが亡くなったこと。お母さまが亡くなったこと。デイヴがそのことを大っぴらに語ることはない。ただ、本人が抱え込んだ悲しみを、バンドメイトとともに音楽で表現し、シェアしてくれる。だから彼らはオーディエンスの反応が直接得られるライヴを続けるし、今の彼らにはオーディエンスの声が必要なのだと思う。
「Breakout」の長いインタールードで「照明落として!」とデイヴが叫ぶ。「シーーーーー」と小声でいい、演奏もボリュームを落とす。地上の星が輝く。ジョシュの長いソロ。
@foofightersofficial #fujirock ♬ Breakout - Foo Fighters
ドラムセットの下にジョシュのお子さんたち(多分)が座ってて、スマホで撮影しているのが見えた。多分その動画。振り返って微笑みかけるネイトの表情がすごくいい。フーファイのステージは、ファミリーがステージ袖やアンプ裏とかにいるんだよね。年を経るごとにその数は増えていった。かつてはテイラーのこどもたちもここにいた。続いて「My Hero」。デイヴがクラウドを見渡し「Beautiful, 」といってくれた。
さて、メンバー紹介とともにカバー曲を披露するコントの時間。デイヴのシフティ紹介はなんか敬意があった。わかる。ネイトのBeastie Boys「Sabotage」、ベースマジカッケー! お茶らけてアーイキャントスタンイーッ、アーイノウユープランイーッとシャウトするデイヴ。ウケる。ラミは「そんなんじゃ足りねーぞ、For FUJIだぞ、やりなおしー!」とより長いソロをデイヴから要求される。オーディエンスもがんばれレミと盛り上げる。パットははい来ましたThe Ramonesの「Blitzkrieg Bop(電撃バップ)」、上下でジャカジャカ弾かず、全部ダウンストロークでジャジャジャジャジャ、とギターを掻き鳴らすところがパット〜! って感じ、パンクスタイル。ジョシュがドドタタドドタタと乗ってきて、デイヴもシフティも合わせてくる。あちこちから「Hey! Ho! Let's Go!」の声が上がってやんややんや。最後はジョシュ。このコーナーではジョシュが参加してきたバンドの曲をいろいろやっていて、その中にNINの「March Of The Pigs」もあったので期待していたのだが、この日はDEVOの「Whip It」だった。いやいや楽しかったよ、NINは今度聴かせてくれ(諦めてない)。
ここでデイヴが「新しいメンバーを発表するよ」「7人目のメンバーです」とかいう。何をいいだす……と血の気が引く。いやマジで指先冷たくなった。「Ladies And Gentlemen, Please Welcome…」と呼び込まれたのはWEEZERのパットだったーーーやめてそういう冗談いうのマジビビるから。パットってドラマーじゃないっけと思ったが、近年パットはギターを弾いてドラマーはサポート呼んでるんですって。知らなかった。パットがパットのギターを借りて、演奏するのは「Big Me」。うん、いい。かわいい。最後パットがパットに教えてあげるようなふりして二人羽織状態になって笑う。最後はギターの取り合いみたいになって終わる。
昨年のテイラートリビュートのとき、ウェンブリースタジアムの大観衆を前に絶句していたデイヴの肩にそっと寄り添ったパットの姿を思い出す。パットのこういうほのぼのしい優しさ、フーファイには絶対必要不可欠なものだ。
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08月01日(火)
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