ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■高橋徹也、鹿島達也、脇山広介、宮下広輔 Live Recording『AO VIVO 2022』
高橋徹也、鹿島達也、脇山広介、宮下広輔 Live Recording『AO VIVO 2022』@Shimokitazawa 440

「みんなよく今日来たねえ!」「数あるレジャーのなかからここを選んで頂いて…」つってましたが、いやいやここへ来てよかったわと心から思える内容でしたよ! バンドはよい! pic.twitter.com/us90XFouqy— kai ☁️ (@flower_lens) November 27, 2022
ラディカルな意志のスタイルズ、『鎌倉殿の13人』実朝暗殺の回と被ったのは予定外だったがそういうこともある…しかも同じ建物の地下(CLUB251)では高畠俊太郎のバンドLOOP LINE PASSENGERがやってたという……。結構地下の音響くんですよねここ。骨太のドラムが聴こえる度ああこれがカスミさんなんだと思ったりしてました。なんでこんなに被ったかねえ。

あとご本人がいちばん観たかったのではないか、サッカーW杯日本vsコスタリカ戦ともまるかぶり。「東京ドームではSEVENTEENがやってるのに! 僕は物販だけ並んできました」なんて冗談はいっていましたが、本編ではサッカーについて全く触れなかったところに気合いの程を感じました。

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高橋徹也(G, Vo)、鹿島達也(B)、脇山広介(Drs)、宮下広輔(Pedal Steel)
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2018年7月に行われた『The Endless Summer - revisited』をパッケージした『AO VIVO - Summer Soft Soul』に続く、440でのライヴレコーディングです。記憶が定かではないけれど、前回は事前にレコーディングしますというアナウンスはなかった気がする。今回は最初から発表されていたので、やる方も聴く方も緊張していた印象。勿論自分も。

今回はロックがキーワードのようで、選曲もロックリスナー・高橋徹也のルーツを俯瞰するようなセットリストでした。曲が進む毎にバンドがドライヴしていく。ステージとフロアのテンションがハードに、しかしハッピーに張り詰めていく。レコーディングだということを忘れて聴き入っていましたが、一曲だけイントロのリフがちょっと詰まり、思わず息を呑みました。あれは我に返った。ご本人もあっ、という様子を見せ、一瞬の静寂。誰も一言も発さず、ゆっくりとまた最初から。そしてその一連の空気が、とても心地よかった。

本人曰く「青春!」。9月のリクエストライヴのときにも思ったが、The Smith、The Style Councilに代表される80年代ブリティッシュロックに加え、PixiesからNirvanaの80〜90年代グランジ・オルタナティヴといったルーツが見えてくるリフやコード。しかしルーツは見えるのに、そこで演奏されるのは明らかに高橋徹也にしか成し得ない作品になっている。クリアな高音の声がその一端を担っているのは間違いないが、それにしても「Smells Like Teen Spirit」を彷彿とさせるハードなリフから、どうやったらこんな風光明媚な世界へ展開出来るのか? 不思議でならない。それが魅力。

今回はバンド編成だったこともあり、鹿島さんのグルーヴマスターっぷり、脇山さんのヴォーカルにジャストなフィルイン、宮下さんのソリッドなハンドリングぶりを堪能。特に鍵盤が不在の「チャイナ・カフェ」が、これぞロックバンドという骨太なアレンジになっていたのにはシビれた。全員にソロをまわすところにも、長年のトラベリングバンドのような風格がありました。そんなにライヴの本数自体は多くないと思うのですが、日々それぞれ鍛錬している手練れが集まりしっかりリハをすると、百戦錬磨の貫禄というものはするりと身に纏えるものなのだなと感嘆しきり。

演奏とMCのギャップも毎度のこと乍ら面白く、鹿島さんに「『真っ赤な車』やったあとにその話する?」と呆れられた(笑)スーパーのハシゴの話、「ホントはいい子なんですよ」発言には笑った。「脇山くんの叩いたフレーズは脳内で完コピ出来るくらい気に入っている」という発言を受けた脇山さんが「当初こうやればよかったんじゃないか、まだまだやれることはあったんじゃないかと反省があったんですけど、こういってもらえてとてもうれしい」と答えたところにはジーンときてしまった。メンバーを固定して長くやっていくことにより成長を感じられる素敵な関係。こういうところもロックバンド。


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11月27日(日)
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