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by kai
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■『人質 韓国トップスター誘拐事件』
『人質 韓国トップスター誘拐事件』@シネマート新宿 スクリーン1

『人質 韓国トップスター誘拐事件』ファン・ジョンミン演じるファン・ジョンミンが誘拐されて、演技力を武器に窮地を乗り切れるか? というギミック、これが見応えある。被害者が心身に受ける傷についてしっかり描いているところもよかったなあ。事件解決でめでたしめでたしではないのよね…… pic.twitter.com/FHTOriOOBW— kai ☁️ (@flower_lens) September 11, 2022
犯人たちがジョンミンさんのことブサイクブサイクいうのが腹立ったわ〜ブサイクじゃないわよ!!! てか普段自分からネタにしている「顔が赤い」「天然パーマ」「慶尚道なまり」というワードを効果的に(?)ちょいちょい入れてくるもんだから、よりリアルさが増しましたね……。こう書いているとなんだかコメディみたいだし、日本の配給会社も面白おかしい売り出し方(後述)をしていましたが、いやいやこれが見事なサスペンスアクションとなっておりました。以下ネタバレしてます。

原題『인질(人質)』、英題『Hostage: Missing Celebrity』。2021年、ピル・カムソン監督作品。アンディ・ラウ主演『誘拐捜査』のリメイクとのことです。この『誘拐捜査』も、実際にあった俳優ウー・ルオプー(呉若甫)誘拐事件がベースなのだとか。

『ダンシング・クィーン』でもファン・ジョンミンはファン・ジョンミンを演じていましたが、こちらはソウル市長選挙に立候補する弁護士の役。同姓同名だけど別人で、でも本人の人柄を観客は想像し乍ら観る……という二重構造が面白い作品でした。しかし今回はご本人もご本人、“俳優ファン・ジョンミン”が誘拐されるという設定。序盤から出てくるトートバッグは私物で、2018年の東京旅行やカンヌ映画祭でも持ち歩いておりファンの間で話題になったもの。この物持ちの良さ…人柄……。じゃあこの車は? 家は? と考えてしまう訳で、すっかりこの映画の仕掛けにはまってしまいます。

仕事がなかったときの話、演技でもうひとりの人質を騙したことを謝る場面、犯人グループのひとりの話を聞いてあげる場面がとても印象的でした。ご本人の人柄が感じられるわ〜と思いつつ、いやいやこれも演技? と観る側の感情も行ったり来たり。やっぱりすごい役者さん。

犯人グループのひとりが『新しき世界』の台詞を真似したり、通報の手がかりになる名前が『生き残るための3つの取引』と『ベテラン』でジョンミンさんが演じた人物名だったり(どちらも今作のプロデューサーのひとり、リュ・スンワン監督作品というところにニヤニヤ)と、過去作の引用が事件解決の鍵となる。実際ジョンミンさんが誘拐されたら、こうして危機に立ち向かうのかなと想像出来るところも面白いです。

あとネタバレ回避していたので、特別出演でパク・ソンウンが出てるって知らなかったのでビックリした! ソンウンさんも本人役な訳だけど、ジョンミンさんと共演した(そもそも共演作多いよね)『華麗なるリベンジ』や『工作』での役柄のように、呑気でちょっと抜けているけど何気に頼りになる、朗らかで優しいという、うわ〜本人〜! ってキャラクター。いい仕事してます。

といえば、友情出演(後述)が豪華メンバーだった。こんなに出てた……? 過去作品のモンタージュシーンってだけじゃなくて、本編(撮り下ろし)にも出ていたの!? イ・ソンミンしかわかんなかったよ! リピートしたい……。

それにしても犯人グループが怖かった。ジョンミンさんが本人役なので、犯人グループが顔の知られている役者だと映画の仕掛けそのものがパーになってしまう。よって、舞台人や映画初出演の役者をオーディションで揃えたとのこと。今後注目されそう。いや、もうされているみたい。しかもジョンミンさん、「新人が発掘される機会を」と自分のギャラを制作費にまわし、オーディションや配役にも積極的に関わったとのこと。ひ、ひとがら……。


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09月11日(日)
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