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by kai
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■大駱駝艦・天賦典式 創立50周年公演『おわり』
大駱駝艦・天賦典式 創立50周年公演『おわり』@世田谷パブリックシアター

「――そうか、俺も50年観ているんだなあ」。ロビーでそう話す大先輩方と席を並べて拝見する天賦典式、まずは『おわり』から。おわりと名付けてこうをどるか、こうなりゃこちらも終わる迄観るのみ! #大駱駝艦 50周年おめでとうございます! pic.twitter.com/weIwrUiKqh― kai ☁ (@flower_lens) July 17, 2022
てかワタシも最初に観たのは晴海でやった20周年公演『雨月〜昇天する地獄』だから30年は観てるのか(白目)ハァ〜いつ観ても何度観ても唯一無二で驚いて笑えて人間ってちっぽけだなあと思わせられますね。最高だ pic.twitter.com/zjTLFnFtYV― kai ☁ (@flower_lens) July 17, 2022
おわり
時空が溶ける
光が溶ける
闇が溶ける
我々はその時まで
をどり続けるのだ
麿 赤兒

開演前に麿赤兒氏からご挨拶のアナウンス。50周年続いたことについての驚きと感慨と、観客への感謝。今作『おわり』と『はじまり』は、昨年の『ダークマター』から続く“宇宙三部作”という説明。そしてこのご時世故、終演後の面会が出来ず残念という話。本来だったら昔話に花を咲かせる楽屋訪問などもあったのだろうなと思うとせつない。クマさんですら会えないんだものね。

という訳で宇宙です。「ずいずいずっころばし」、「だるまさんがころんだ」。童歌、童遊び。神隠しにあうこども。さらわれた先は闇か、光か。発声がいつもより多く、騒々しくも感じる賑やかさ。男性ダンサーたちの叫びはブラックホールの咆哮のようだし、衣装をひらめかせをどる女性ダンサーたちは星雲のよう。男女ひと組で装着する巨大なドレス(堂本教子さんによる衣裳、毎回素晴らしい!)は、ブラックホールとホワイトホールを繋うワームホールのようでもあり、うずまき銀河を思わせるダイナミックな回転を見せる。大脳にも雲にも見えるオブジェを背中合わせで担ぎ、しかと地を捉えて進むをどりは“舞踏”の真骨頂。絶えず動き続けるシーソーは、宇宙にとっては蚊に刺されたくらいの刺激でも、人間にとっては絶滅の危機すら招く膨大な力。

麿さんの脳内に繰り広げられている世界をお裾分けしてもらう感覚だ。艦員がいてこそ成り立つ作品でもある。決して簡単なことではない、集団を半世紀率い続けてきた麿さんの、ひとへの興味を思う。

その艦員、常に新陳代謝されている。イキのいい若手とベテラン、中堅のバランスがいい。フレッシュでいて滋味深い。男性ダンサーより女性ダンサーが多くなったところにも注目。それもあってか今回、OBダンサーがふたりゲストとして招聘されていた(塩谷智司さん、阿目虎南さん)。私が観始めた頃から在籍してるのって、村松卓矢さんくらいかな。村松さんと田村一行さん以外は全員2000年以降の入艦だ。かわいらしい子が増えたわね、とすっかり小母目線で観たところもあった(微笑)。

そういえば序盤の「おわりを待ちながら Waiting for the End」は、たどたどしい幼児の声で唄われるナンバー。「Singing Tamura Rune」とあったんだけど、田村さんのお子さんかしら。こういうところにも歴史を感じます。あの曲、クレジットはJeff Millsとなっていたけど、スタンダード曲だよな。何だったかな……。

フィナーレ前の最後のセクションはプログラムに記載されていない曲。70〜80年代っぽいシンセとギターサウンド、日本語詞。“パラダイスなの? ユートピアなの?”“サピエンス どこへ行くの? どうするの?”“時間の終わりまで をどるのさ”

「キヨシロー? あがた森魚? こんな曲あったっけ?」と思わず耳を傾けてしまうヴォーカル。舞台上で麿さんも唄っている。声が重なって聴こえる。ん? ん? この声? 感動のフィナーレ(毎回思うがここのセクションがもうひとつの作品よね)に拍手を贈り、キツネにつままれたような気分で帰宅。

当日配布の機関紙『をどる』を読む。MVが発表されたばかり(後述)の「ラララ サピエンス」という曲が紹介されている。これか! で、なんとこれ、麿さんご本人の歌唱だった。最&高!!! 来週は『はじまり』、さてどうなる!!!

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・大駱駝艦・天賦典式『ラララ サピエンス』


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07月17日(日)
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