ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ただ悪より救いたまえ』
『ただ悪より救いたまえ』@シネマート新宿 スクリーン1

『ただ悪より救いたまえ』観た〜ん えっ、レイったらインナムのこと大好きね……? メロドラマを足してグロを引いた『殺し屋1』みたいだったわ? ツッコミどころは多いけど演者の面構えがとてもよくて楽しいのでリピートする〜
mot醇rrheadのロゴごと撮ったらなんかステキになった pic.twitter.com/9FbAtqjIBs― kai

(@flower_lens) December 26, 2021
いやー待った待ちました。日本での撮影があったと知り、本国で公開されたときファン・ジョンミンに「熱い夏を救うアジェファタール(※アジョシ+オムファタール)、夏が愛した魔性の男」というキャッチコピーがついたと知り、いつ! 日本での公開は! はよ! と思い続けて一年以上。なんとクリスマスイヴの封切り、何の冗談か。原題『다만 악에서 구하소서(ただ悪より救いたまえ)』、英題『DELIVER US FROM EVIL』、2020年、ホン・ウォンチャン監督作品。

最後の仕事を無事終わらせ、南の島で余生を送ろうとしていた殺し屋インナム。その最後の殺しの相手というのが日本のヤクザだったんだけど、その弟・レイがヤベーやつで、復讐してやる〜とどこ迄も追いかけてくる。東京から仁川、そしてバンコク、ランヤオ。周囲の人間を巻き込んで、ふたりが通り過ぎたあとには死体の山が出来上がる……。

話としてはもうこんだけなんですが、インナムに実は娘がいて、その娘がタイに住んでて臓器売買目的で誘拐されたとか、タイってことで性別適合手術を受けようと韓国から来ていたトランスジェンダーのユイがインナムに協力することになるとか、レイはレイで在日朝鮮人としての複雑な家庭関係とか、いろいろあるんですが、そこら辺もうちょっと、もうちょっと練ってくれよ〜と思わないでもなくてですね……インナムの娘たまったもんじゃないな! とか、ユイと警察んとこのジョーク滑ってるなとか、インナムの元恋人(=娘の母親)役が『金子文子と朴烈』での名演が記憶に残るチェ・ヒソだったんですが、このストーリーで彼女に日本語の台詞ないとか勿体なさすぎる! とか。

しかし、ん? んん? と引っかかりつつも、皆さんの演技が素晴らしすぎる+レイちゃん(といいたくなる)の勢いが凄すぎてもはや笑いが出るという状態で、最後迄一気に観せられたという感じ。もうレイちゃん面白すぎたよ…トゥクトゥクの運転手さん無事だったかしら……タイのマフィアも警察も、追ってる案件とは全く関係ないひとが現れて大暴れ(なんてもんじゃない、災害だあれは)したら「ちょ誰、何」てなるよね……レイちゃん落ち着いて! インナムを追う理由も途中で忘れたとかいうところ、ホントはシリアスなシーンなんだろうけど「ちょレイちゃん、思い出して!」とかいいたくなった。もはや楽しい。

そうそう、画ヅラがめちゃめちゃよかったです(『パラサイト』『母なる証明』の撮影監督・ホン・ギョンピョ。来年公開予定の李相日監督作品『流浪の月』でも撮ってるそうです)。仁川の夕暮れは圧倒的な色彩だったし、インナムを演じるファン・ジョンミンの瞳の撮り方が、あーこの色を撮りたかったんだな、観客もこの虹彩が観たかったです! という光の当て方でした。アクションの撮り方も独特で、打撃部分は本当に当たって見える(顔が曲がるし、汗も飛ぶ)ので「え、本当に殴ってんの!?」と驚いた。実際に当てているアクションをスローで撮り、スピードを上げて編集しているそうです。


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12月26日(日)
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