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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『潜入』
『潜入』@シネマート新宿 スクリーン1
原題『사생결단(死生決断)』、英題『Bloody Tie』、2006年、チェ・ホ監督作品。コロナ禍により新作公開スケジュールが不透明ななか、様々な特集上映を組み作品を提供し続けているシネマート。今回は『ヨンギマンシブ!(誰もが知る演技うまい俳優特集)』からの一本です。期間限定、なおかつ一日一回上映という状況で、スケジュールが合わず一期目は逃してしまったのですが、アンコール上映でレイトが決まりなんとか観ることが出来ました。
原題直訳の『死生決断』としてファンの間では親しまれていた作品。本国発売のDVDを英語字幕で観ていましたが、やっぱりスクリーンで観られるとなると血が騒ぎます。今となっては「映画館で観られる」こと自体が貴重な体験となりつつあり、複雑な気持ちではありますが。配信サービス『おうちでシネマート』が始まり、日本初公開(つまり日本語字幕付き!)の旧作が観られる機会が増えたのもうれしいことです。多分今作もこれからコレクションに加わるのではないかな。
1990年代末、釜山の麻薬戦争。ディーラー=リュ・スンボム、刑事=ファン・ジョンミン。ま〜今観るとおふたりとも若くてファ〜となる。顔とかまるまるしてて、幼さが残ってるって感じでねえ。そんでいろいろ勘違いしていた(英語字幕も読めてないってことではガクリ)。お父さんだと思ってたあのおっちゃんは叔父さんだったのか……お父さんだからなんだかんだ恨んでても引導を渡しきれないのかと思ってたよ! 叔父ですらそんなしがらみあるの? これって韓国の親戚事情なの? そんな、おかーちゃんを殺したも同然の叔父なんて、縁切って警察に売り飛ばしても良かろうもんに……(むちゃくちゃいう)。
他の箇所はなんとか理解は間違ってなかったが、しかしなあ……クスリダメゼッタイの思いを強くするのであった。チュ・ジャヒョンのヤク中演技が素晴らしかった(といっていいのか)。今観ると「この撮影現場、役者のケアは大丈夫だったんだろうか」なんて思ってしまうのですが、その後の本人のインタヴューなど読むにつけ、納得のいく仕事が出来たのだなとちょっとホッとする一観客なのでした。時代は目まぐるしく進んでいるなあ。
で、スンボムくんもジョンミンさんもクズ演技が素晴らしかったです(ほめてる)。互いが互いを利用して成り上がろうとするんだけどどっちも詰めが甘くて自滅するというクズがま〜似合う、というか似合うと見えてしまうところが演技巧者! 肉体が矛盾をつめこんで膨らんでいくかのよう。あっだからふたりともなんかまるまるしてるのね(違う)。思えばジョンミンさんが体重を大幅に増やした『ユア・マイ・サンシャイン』が2005年ですから、元の体重に戻している途中だったのかもしれない。元々はすごい細いもんね。ふくふくしたジョンミンさん、不摂生な生活をしている刑事の身体としては説得力がありました。スンボムくんの方は、今ではなんかもー窪塚洋介みたいなポジションになっているので(当社比)、初々しい姿を改めて観られてよかったですふふふ。
あと目玉といえば、エンディングテーマ「누구를 위한 삶인가(Who are you living for?)(誰のための人生か)」をふたりが唄っていること(Leessangとのコラボ)。ラップをスンボムくん、メロディパートをジョンミンさんが唄っています。いやー映画館で聴けて感無量ですわ。サウンドトラックも出ています。
そうそう、歌といえば「釜山港へ帰れ」がカラオケだったり街で流れていたりと、あらゆるシーンで使われているところにおお、ご当地……と思った。この作品の舞台は1990年末ですが、チョー・ヨンピルが唄って日本でも大ヒットしたのは確か1980年代だったかと。紅白にも出ましたよね。本国では歌い継がれている名曲なんだなあと思いました。
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・日本版予告編
・Bloody Tie (2006) - 사생결단 - Trailer(本国版予告編)
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07月08日(木)
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