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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■大駱駝艦 天賦典式『ダークマター』
大駱駝艦 天賦典式『ダークマター』@世田谷パブリックシアター
宇宙から見れば人間はちっぽけな存在で、ちいさな星に押し込められて震えているに過ぎないのかも。レインボーカラー、シャボン玉、エレクトロミュージック。ここはイビザか。人類皆迷子。十年前、震災の翌週に『灰の人』を観たことも思い出した。大駱駝艦 天賦典式『ダークマター』 pic.twitter.com/cgIJwuNXus— kai (@flower_lens) February 6, 2021
“大も小も謎だらけ こちとら裸だ 真っ暗闇に飛び込もう!” 上演時間は1時間10分と、いつもよりは短め。しかし内容は濃密。
非常時の大駱駝艦は効く。非常時でなくとも、非常時にどう立っていればいいかの心構えに効く。まあ、そういう御託は置いといても「好き♡」なので公演があれば万難を排して出掛けて行く訳ですが、今回麿さんからまさにその「万難を排して」という言葉が出たのでした(後述)。ううむ、上演前にご挨拶を聞くのは十年ぶりだ。十年前、麿さんは来場者への御礼と「我々は消えた御霊が安らかに、と言う思いを胸に、ただただをどるだけ」といったのでした。『ウイルス』が上演されたのはその翌年、2012年。今、再演を観たくもあります。
ウイルスときてムシ(『ムシノホシ』)ときて、今回は素粒子。かつてない程にカラフルな原色をまとったダンサーたちが、広い舞台の真ん中に身を寄せ合って震えている。色はそれぞれペアになっている。そこへモノトーンのダンサーたちがやってきて、「みつこー!!!」とか「もとこー!!!」とか叫び出す。なんだそりゃ、とニヤニヤするも、すぐにみつこ=光子、もとこ=素子だと思い至る。りゅうこ=粒子もあったかな? モノトーンのダンサーたちはジャケットを脱げばラクダのシャツとパッチ(笑)、シャレか。こういうクスリとする洒落っ気と、瞠目する切実さ。大駱駝艦のをどりにはそれらが「大も小も」並んでいる。・昨年独立された我妻恵美子さんを継ぐ(?)鉾久奈緒美さんが存在感を示します。
彼らはぶつかり、転がり、土管のような筒に入ったり出たりと蠢きまわる。管のなかはヴォイドなのか? それとも……と思っていると、人影が見える。ずっと誰かが潜んでるなあ……と思っていたら、それが麿さんであった。ぬるりと出てくるその仕草。長いこと観てると己の身体とも向き合いつつの感想も増えまして、「麿さんあの姿勢よくとれるな、腰とか膝痛くならないのかな」などと思ったりもする。いやぁすげえ。いつも心に麿赤兒とデイヴ・グロール(快新作が出たばかり)だわ、見習いたい。
閑話休題。赤い紐/リボン(=ひも理論=超弦理論?)と走馬灯、ステージ奥へと退いていくものたち。万物に死は訪れる。昨年の『M』を思い出すクライマックス。天文学や素粒子物理学に全くの無知である自分も、こうしてイメージで遊ぶことが出来る。舞踏は偉大なり。
フィナーレ、毎度のことだがシビれる。質量はあるが、光学的には直接観測できないという「ダークマター」。暗黒物質ともいわれるそれを暗黒舞踏をして“をどる”、大駱駝艦のスペクタクル。
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・携帯アラーム、感染症対策、耐震構造の説明、退場或いは非常時の避難方法と開演前のアナウンスがどんどん長くなる訳ですが、今回英語のアナウンスがないところに海外からの観客がいない(少ない)のだなあと実感。続いて麿さんから直々に万難を排して来た観客への御礼と、終演後出演者との面会は出来ないとのお詫びがありました。白塗りのままの出演者がロビーで談笑してる、あの恒例の光景が見られないのもさびしいものです
・素粒子物理学からの感想ツイート
そうなんだー! とわからないまま膝を打つ。
「普通の人は普通に舞台の上にあるイメージを受け止めればいいんだけど、そのイメージは、知識がある人のイメージと相当な一致を見せるかもしれなくて、そしてそれは逆に、俺の知らない何かに関しても、適切なイメージを与えられているのかもしれな」い。大駱駝艦の凄みでもある
・量子力学演劇「光子の裁判」┃青年団
で、上記ツイートにある『光子の裁判』って何だろうと調べていたら、青年団の上演記録に行き着くという。観てみたかった!
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02月06日(土)
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