ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[647945hit]
■downy & THE NOVEMBERS Presents『情けの首』
downy & THE NOVEMBERS Presents『情けの首』@Shibuya WWW X
downy / THE NOVEMBERS『情けの首』、これは二度と聴けないやつだなー……ってライヴというものは皆そうなんだけど。プレイヤーは約束を果たした。どちらも凄まじい気迫、それと相反するような透徹した演奏だった pic.twitter.com/nmIjxtxx3s― kai (@flower_lens) 2019年7月9日
彼らは誰に向けて演奏していたのか。そこには誰もいない? いや、いたとすればただひとり。フロアにいるひとへ、でなくても私は構わなかった。この場に立ち会わせてくれただけで充分。ましてや、こんな音を聴かせてもらえた。アンコールがなかった(基本いつもないそうだが)のにも素直に納得出来た。あんな演奏の、あの「弌」のあとに何をやれというんだ。公演は終了ですとスタッフがいうと、戸惑うように鳴らされていた手拍子が拍手に変わった。
---
Vo, G:青木ロビン
B:仲俣和宏
Drs:秋山タカヒコ
VJ:zakuro
Ableton Live + Push:SUNNOVA
---
SUNNOVAさんはサポートということだけど、もはや欠かせないメンバー。
downyには『情けの庭』、THE NOVEMBERSには『首』というライヴシリーズがある。2017年12月8日、THE NOVEMBERSを迎えてCLUB QUATTROで行われる予定だった『情けの庭』は、青木裕さんの体調不良により延期になった。翌年の3月19日に裕さんは亡くなり、その日の夜、downyはWWW Xで演奏していた。
・downy自主企画「情けの庭」がメンバー体調不良で延期┃音楽ナタリー
・downyの新ワンマン「砂上、燃ユ。残像」急遽決定┃音楽ナタリー
・downy青木裕、48歳で死去┃音楽ナタリー
「約束だったから」「あの日以来のダブダブ(WWW X)でね、」とロビンさんがぼそり。過度に感傷的になることはなかった。四人はフロアを見ていない、ひたすらお互いを見ている。呼吸を、指先、喉、舌、爪先を合わせることに集中している。猫の目のようにくるくる移動するビートの起点、増幅していくグルーヴ。いつにまにか全員がステージの内側を向いている。力が入りときに歌声が裏返ってしまうロビンさん(珍しいのでは)、バランスを失いそうになる程前のめりになる仲俣さん、激しくしかし的確に裕さんの音を送り出すSUNNOVAさん。そんななか涼しい顔でハードコアビーツをホイホイ繰り出す秋山さん……ときどきそれを見て我に返る(笑)。そうだ、秋山さんの演奏どうなってんのってのを見たかったんだ。
低めに組んだシンプルなセット。シンバルはライド、クラッシュのみ。あとはハイハット、スネア、フロアタムってとこか。全体的に肘と手首の反動で軽々叩いているように見えるが、ひとつひとつの音がクリアで粒立っており、その全ての圧が高い。あとブレイクどこよという連打で全くリムにひっかからないというところもすごい…なんじゃありゃ……。そこで再び我に返る、えっとドラムがあんまりすごいんで注目しがちだけどそこにぴったり(ホントぴったり!)寄り添ってるベースがすごくねえ? あまりにも見事なコンビネーションなのでその様子を見たいと首を伸ばしたが、ステージが高くフロアに段差のないWWW Xは余程いいポジションをとらないとステージ奥が見えないのであった。下手側にいたのだが、結果秋山さんの方をガッツリ向いている仲俣さんのお尻をひたすら見ることになった。自分でも必死に何を見てるんだろうと思ったが、まあ仕方がない。
そんなこんなで感情が行ったり来たりで忙しかった。そしてVJに色の記憶がない。このバンドのステージは、空間全体が鮮やかな色彩に染まる印象だったが……今回はモノクロ基調だったのだろうか。ロビンさんは白いシャツ、あとの三人は黒の上下だった。
「じゃあね、バイバイ」というMCのあとに演奏されたのが「弌」。ここでプレイヤーの様相が変わる。仲俣さんがフロアを向く。厳密にはフロアの上を見ていた。そこに誰かがいるかのように。有線のイヤモニをモニターに直結していたようだが、そのコードがふわりと揺れる。ロビンさんも立奏。爆音、また爆音。音が塊になって飛んでくる。鼓膜が痺れるような感覚。
[5]続きを読む
07月09日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る