ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ボヘミアン・ラプソディ』
『ボヘミアン・ラプソディ』@新宿ピカデリー シアター2
うおおおおおい、ライブヴエイドどころか最初っからずっと泣いてた…泣きつかれた……。本編の最初ではなく、20世紀フォックスのあのファンファーレのとこからもう泣いてた(ネタバレになるので後述)。しかもさエンドロールの最後にかかる曲でモーリス・ベジャールのこと迄思い出してまた泣いた。へとへと。そういえば、フレディ・マーキュリーもベジャールも11月に亡くなったのだった。
そんでYouTube観ますよね。そうそう、最初のイントロのミスタッチ。フレディが贈るキス。ペプシの紙コップ。ステージ前のカメラマンピット、イントレに座って観ている二人組……あっ、ちょっと違う、と思ったのはフレディの腹まわり(笑)。ちょっとよ、ちょっと! そして、実際の中継映像は殆どがフレディのみを捉えていることに気付く。つまり、他の三人──ブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラー──の表情は、「映画」のものだということ。こうだったと思う三人と、こうあってほしいと願うファンの思いが掬いとられていたのだ。これは素晴らしい「再現」、とまた泣いて、翌朝まぶたパンパン。メガネとったのび太みたいになってた。
そんでこれも観ちゃう。1992年。アクセル〜。
ライヴエイド中継を観ている世代です。憶えているのはデヴィッド・ボウイとクイーン、それとフィル・コリンズのステージ。そして日本の中継スタジオ。フジテレビの逸見アナウンサーと南こうせつが進行だったよねー。Wikipediaによると中継は一部だったそう。となるとクイーンとボウイがタイミングよく中継されたこと、それを観ることが出来たのって運がよかったというか……寝てしまって観ていないところもあったもの。
ついでにいうと、クイーンが活躍した70〜80年代の日本は、比較的洋楽がくらしと身近だったように思う。娯楽やメディアの選択肢、それらへアクセスする方法が今より少なかった分、「みんなが知ってる歌」というものが多かった。こども向けテレビ番組やCMで洋楽のヒット曲が多数起用されていたし、なんたってこのライヴエイドが地上波で十数時間中継されていた。おかげで宮崎の片田舎に住んでいた中学生もこのイヴェントを観ることが出来た。もひとつついでに、クイーン、エアロスミスとともに「ハードロック御三家」と呼ばれていたKISSの「メンバーのすっぴんを見たひとは死ぬ」なんて噂が小学校に迄流れて(本当です。繰り返すが宮崎の片田舎によ!)恐れられていた時代ですわ。これのおかげで今でもちょっと怖いもんな、KISS。
前置きが長いよ! QueenのLIVE AIDが見事に再現されている、というのが観に行く決め手でした。クイーンの誕生、崩壊、再生という伝記ものではあるけれど、その終焉迄は描かれていない。そういう意味ではバンドの青春時代を切りとったものだといえます。史実とは違うところも多い。『タクシー運転手』でのあれこれを思い出しました。こちらの場合は運転手の人物像が多少戯画化されており、映画公開後に彼の家族が「父は高級ホテル所属の運転手で英語が堪能だった。ひとの仕事を奪ったりするようなことは決してなかった」とコメントを出していた。『ボヘミアン〜』の場合、フレディのパーソナルマネジャーだったポールの描写がかなり辛辣。これもメンバーやファンが「こうあってほしい」と思った結果なのかもしれないが。よりドラマティックに、よりエモーショナルに。鑑賞後に原典を探して作品世界とその歴史をより深く知るもよし、フィクションのファンタジーを大切にして、事実に目を向けなくてもよし。映画館を出たあとは、あなた次第。映画の業みたいなものも感じたのでした。
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11月14日(水)
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