ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648080hit]
■HURTS『Desire Tour Live in Japan 2018』
HURTS『Desire Tour Live in Japan 2018』@マイナビBLITZ赤坂
いやーやっと来た、待ってた。2011年以来、日本では二度目の単独公演です。このときはアダムが体調崩して欠席したんだった。来日はしてたんだよね確か……で、出てきたセオが「アダムが出られなくなってごめんね、ショウマストゴーオン!」つったんだった(涙)。サポートメンバーがいるとはいえ、デュオでひとり欠席ってつらいものがあるよね……アットホームな雰囲気で、とてもいいライヴだったことを憶えています。
こうしたアクシデントはデビュー以来こまごまあったんだろう。それらを乗り越えて、2013年のフジに来たときはすっかりたくましくなっていた。というか大化けしていた。あかん、このままではDepeche Modeのように大物になって日本になんざ来てくれなくなるぞ……という危機感をいちリスナーが抱いてもどうにもならん、あれから五年近く経ってしまったよ。月末の月曜日という不利もあってかBLITZ規模で当日券ありですよ。ギギギなんか悔しい! フジのときみたいに、地鳴りのような歓声とシンガロングで迎えたかった! 欧州ではもはやスタジアムクラス。七人編成のバンド編成でアジアにも来てくれて有難いことです。貫禄のステージングでした。
客電が落ち、Massive Attackの「Angel」が流れる。ほぼまるまる一曲かかってる間にサポートメンバー登場、その後暗転してセオとアダムが登場というオープニング。フジのときもopは「Angel」だったよね。変わったところと変わらないところ。どんな状況にあっても流されず、腐らず、自分を貫くこと。ふたりがHURTSを始める前、仕事も収入もなく音楽制作に没頭していた頃の話を思い出した。古着のスーツ、サスペンダー、なでつけた髪という出で立ちで失業保険を受けとる列に並ぶ。自分を惨めに思うことがないように、他人に見下されないように。そんな信念と美学を持ち、確固たるスタイルを維持している彼ららしいエピソード。デビュー当時から変わらぬバンドロゴのバックドロップ、ピアノの上におかれた白いバラ。そのバラを手にして唄い踊るセオ。彼らと同じマンチェスター出身のThe Smiths……というかモリッシーを連想する場面も。
モリッシーにしろデペにしろ、Prince、Tears for Fears、そしてNINと、彼らは影響を受けた音楽やバンドを公言しており、聴いてみれば成程と思う楽曲もある。しかしライヴとなると、HURTSは唯一無二の存在だ。コンセプチュアルでアート性の高いデザインに沿って繰り広げられるのは、驚く程熱量が高く、エモーショナルで、ドラマティックなパフォーマンス。初来日サマソニで震えていた(と聞いた)あの子はもういないよ……稀代の伊達男になったセオはモニターに片足をかけ、マイクスタンドを担いだポーズでフロアを睨めまわす。ステージではナルシスティックなヴィジュアルイメージよりも、彼の快活で社交的な面が際立つ。フレンドリーかつジェントルなMC、おとなしめ(というかおくゆかしい人が多かったのか序盤おとなし気味だった)のフロアを見るや、全身使って腕を振って! とか手拍子して! とか体育会系ばりに率先して動く。じっくり聴こうと二階椅子席から観ていたのですが、その形相に反射で腕を振りました。てか隣で同じく喰いいるように観ていた男性も「は、はいーっ!」てな感じでバッと同時に腕を振りだしてウケた。高みの見物など許さないとでもいいたげに、フロアを休ませず、というか甘やかさず(笑)導く様子にブレット・アンダーソン兄の姿を垣間見ましたわ。
アダムはZZ TOPの短い版みたいなモフモフヒゲになっておりどうした……と思ったが、ピアノにギターにシンセ(ステージ後方中央に設置してある)と曲ごとに黙々と移動し寡黙に演奏しマイペースに手を振ったり謎のサイン(コアなファンにはわかる意味があるのかな)を出したりと、思想家のようなふるまいで素敵。ふたりのキャラクターの違いも魅力ですね。しかし左手にサポーターかな? 指なし手袋みたいなのしてた……どうしたんだろう、大丈夫かな。腱鞘炎とかクセにならないといいけど〜って、なんかもうすっかりアダムは身体弱いイメージがついてしまったよ。
[5]続きを読む
01月29日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る