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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■LITE『PAST 7DAYS』
LITE『PAST 7DAYS』(DVD。配信もあるでよ|iTunes)
10年つかずはなれずのリスナーでいたバンドに今ハマるとは……自分の日記で過去観たライヴを確認してる始末ですが、もともと掘ってるシーンが近いのでエピソードには事欠かないという。マイク・ワットとハグしてるメンバーを「時計から出て来た七匹のこやぎとおかあさん」とか書いててうまいこというな! とか自分の書いたものに笑う有様です。このタイミングでtwitterのTLにこれが流れてきたわけですけど、これか? こういうことなのか? 間近で演奏見るとやられてしまうな……後ろでばっか見てると気付かない(脳内補完出来ない)こといっぱいあったわ! 同時に己の耳の節穴っぷりにも愕然としたわ!
そんなわけで? あわててこれを観たのでした。2015年9月リリース。同年3月、SXSW出演後にアメリカ東部七都市をまわったツアードキュメンタリーです。結成10年を経て海外でのライヴも相当数こなし、アメリカに至っては5回目のツアー。何故この時期にドキュメンタリーを撮ったのだろう? という素朴な疑問もありました。監督は松沢征典。
成程、アメリカでの初のヘッドラインツアーだったんですね。「マイク・ワット肝入りの」が通じない不安が序盤に吐露されています。そしてやはりアメリカは手強い。単純にいうと土地が広い。移動距離が半端ない。ヨーロッパで手応えを感じたバンドが次なる一歩と進出し、そしてだいたい潰れるのがアメリカです。長距離移動セッティングリハ本番バラし移動の繰り返し。過酷な環境のなか、大概ダウンするひとが出る。専任ドライバーがいないときさえある。交通事故を起こすバンドも多いし、亡くなったひとも少ないとはいえない数いる。それで思い出したけど、eastern youthがアメリカツアーしたときタモさんが運転してて車が横転する事故あったじゃないですか……未だに吉野さん根に持ってるよね、「あのとき田森『あ、ダメだ』つったんだよ」「言ってねえよ!」ってさ。もはやネタみたいですが、ネタで済んでよかったよ!
現地のスタッフとのコミュニケーションがうまくいかないことは日常茶飯事。「DIY精神」に甘えた呼び屋がいるのも事実。その昔、日本の呼び屋のヒドさにジョー・ラリーがツアー途中で帰っちゃったことがありましたね……そのとき駆り出されたのが54-71とmouse on the keysでさ(苦笑)。
・ジョー・ラリー来日ツアー中止の真相 - 大正おかん座
まあスティーヴ・アルビニとかは寝袋持参すっから宿はおまえんちな! とかいう豪傑だったりしますが(そしてLITEも過去のツアーでそういうこともあったと話してますが)、やっぱり呼ぶ側としてはそれがあたりまえだと思ってはいけないし、熱意だけがあればいいというわけでもない。敬意と信頼あってこその招聘ですよ!
閑話休題。そんなこんなで5回目となっても慣れないことは多く、現地PAスタッフと一触即発な空気になったり、環境が揃わずVJを中止せざるを得なくなったり、客が入ってる状態でリハする羽目になったりとハプニング続きです。バンドのギャラ最低値を更新する日もあり、こりゃキツいわ……という場面も。ただ呑みに来てるひととバンドを目当てに来ているひととの区別がつかない。前回来てくれたひとがまた来てくれているとは限らない、動員が読めない。アメリカは難しい。弱音を吐きそうになる(いや、ちょっと吐いてる)姿もカメラはとらえる。とりつくろってる暇はない、隠してる場合でもない。こういうのがつもりつもって崩壊するバンドが多いのでしょうが、このドキュメンタリーを観た限り、LITEのメンバーはネガティヴな要素をポジティヴに転換するためのコミュニケーションをお互いしっかりとっているようにも感じました。長続きの秘訣かな。
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02月11日(土)
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