ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FUJI ROCK FESTIVAL '16』3日目 その2
■RED HOT CHILI PEPPERS(GREEN STAGE)
思い返せばフジのRHCPは皆勤している。思い入れがありすぎて話し始めると気持ち悪いことになるのでそっとしておいてください。
ライヴの出来自体はなかなか微妙でした。んがーいろいろな要因があるなあとも思うわけです。音量がちいさく、音圧も低かった。これはバンドの、あるいはPAスタッフの意向でもあるのかもしれない。新譜『The Getaway』に、音圧が必要とされる曲はあまりない。ジャムによって音の位置取りを探りあうプロセスが日常の彼ら、間合いが魅力の曲も多い。もともと音の物量で空間を埋め尽くすタイプのバンドではない。ナヴァロ在籍時はその傾向があった。それはそれで好きなんですよ〜てか自分ナヴァロ期すっっっごい好きなんですよ〜。マッチョやジョークでかためた鎧を脱ぐきっかけを与えたのはアンソニーの個人的な作品だった「Under The Bridge」をバンドの曲として採用したリック・ルービン、その後シリアスな面を前面に出すようになったのはナヴァロの存在が大きいと思う。あの時期バンドもたいへんだったしね……。
閑話休題。なんていえばいいか……『Californication』以降の彼らは音の隙間に哀愁を感じさせる、ウェットとは程遠い乾いた空気が魅力だ。それが極まっているのが今回の新譜で、個人的にはドハマりだった。リリースされてからライヴ当日迄何度リピートしたかしれない。これからも長く聴いていく予感がしている。歌詞も訳詞も繰り返し読んだ(アンソニーの詞、読むのも好き〜)。で、読んでみると、内容が相当暗い(と感じる)。メロウだけどウェットじゃない、カラッカラの心象風景。この「誰にも理解されない」孤独感、アンソニーの気難しさがますます増しているようにすら思う。それが魅力になっている(と感じるファン)。そしてアンソニーは歌を手に入れた。もともとの美声に喉の強さ、ピッチの安定感が加わり、しかもそれが年々円熟味を増している。いくつになっても成長するものなのだなあと思う。
で、新譜の曲のよさは爆音で伝わるものかというと、そうではないなあと。過去曲とのバランスが難しい。
ジャム〜新譜の曲からスタート、この愛想のなさとは裏腹に、演奏の安定感は鉄壁。セットリストは今回のツアーからするとレアだったようだ。一曲目が「Goodbye Angels」というのも珍しいというか初めてじゃないか? なんとなく歌詞に「カミカゼ」と入ってるからかなあなんて思う。アンソニーそういうとここだわりそうじゃないの……ちなみにフジの前、韓国のフェスに出ているんですがそこでは「Soul to Squeeze」やってるんですよ(余談ですがウチの日記のタイトルはこれの歌詞から拝借してます)。Shuichiさんにソウルとかけてんですかね〜と言われて笑ったが、あながち間違いでもないような気がする。ちなみにアンコールの「Dreams of a Samurai」はフジがライヴデビュー、これもタイトルからして初演を日本にとっといてくれたんじゃないかなといいように考える。が、その「〜Samurai」でマイクトラブル。そこから悪循環、アンソニーがキレてマイクを捨て(でも最後迄唄いきったところは真面目ねと思った)チャドの機材迄壊す(笑)。苦笑、どよめき、ど、どうなる。このひとほんとこわいわ〜。そこが好きだわ〜。その後マイクを交換しての第一声、「check!」。ギャー格好いい! 怖いけど素敵! ちゃんと最後迄やってくれてよかったですよ……。
極端にジョシュの音がちいさかったり、途中から大きくなったり、というPAのまずさは確かにあった。「Go Robot」ではサポートを加えてツインベース(! ギターじゃなくてよ! フリーがいるバンドでよ!)といった編成もあり、可能性を探っている様子も窺えた。そしてフェスのヘッドライナーという立場上、観客の期待しているものは圧倒的な音量と熱量、そして鉄板のセットリストなのだろう。この相容れなさが微妙な空気を生んでいたように思う。ちょっと距離のあるところから観ていたので、それがより感じられたというだけで、モッシュピット周辺では問題なかったんじゃないでしょうか。そして個人的にはいろいろと感極まって楽しんでいたので、なんだかんだでいい思い出です。
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07月25日(月)
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