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by kai
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■『헤드윅(HEDWIG and the ANGRY INCH -New Makeup-)』
『헤드윅(HEDWIG and the ANGRY INCH -New Makeup-)』@弘益大大学路アートセンター 大劇場
2005年の初演以来、毎年のように(上演されなかった年は2010年と2015年のみ)キャストを変え上演され続けている韓国版『ヘドウィグ』。本場ブロードウェイの上演システムを継承し、独自のものとして発展させている韓国ミュージカル界の質の高さ、層の厚さが感じられます。ロングランにより、数々のスターも誕生しました。
ブロードウェイでは2014年に上演されたリバイバル版が、その年のトニー賞ミュージカル部門リバイバル賞、主演男優賞(『ゴーン・ガール』の怪演も記憶に新しいニール・パトリック・ハリス)を受賞しました。これを受け、演出ソン・ジウン、音楽監督イ・ジュンのもと、かつての“レジェンド”たちと新たなチャレンジャーを迎えた韓国版“New Makeup”上演が決定。と言う訳で観て来ましたよ。客入れで流れるルー・リードの「Walk On The Wild Side」を聴き乍ら開演を待つ。日本版のヘドウィグ、映画のヘドウィグを思い浮かべる。慌ただしくも豊かな時間。
当日のキャストはこちら。
(クリックすると拡大します)
ヘドウィグ=チョ・ジョンソク、イツァーク(イツハク)=ソムン・タク。06、08、11年にヘドウィグを演じ、「“ポドウィグ(色白という意味の韓国語ポヤッタ+ヘドウィグ)”」の愛称で親しまれたジョンソクくんは五年ぶり、四度目の登板。タクさんは2008年の日本上演版(鈴木勝秀演出)で山本耕史ヘドウィグのパートナーも務めた方です。当時の様子はこちら。
・1回目
・2回目
・ツアーファイナル
・ガラその1
・ガラその2
ガラにはジョン・キャメロン・ミッチェルも出演しました。
こちらにも書いたように、ジョンソクヘド×タクイツァークのペアが登場したのは開幕から二ヶ月近く経ってから。4月27日が初日で、私が観た日はまだ三公演目でした。しかしリハは重ねられていたのでしょう、もう何年も共演していたかのようなコンビネーション。韓国迄ぎでよがっだ…このペアの登場を待っててよがっだ……!!!
“New Makeup”は物語の設定も若干変わっています(後述リンクに詳細)。トミーがタイムズスクエアでコンサートを行うことになり、彼の“ストーキングツアー”をしているヘドウィグもブロードウェイへやってくる。興行が振るわず閉幕した『Junk Yard』の上演劇場から撤収前日一日だけ使用許可がおり、公演のセットが残ったままのステージでヘドウィグは一世一代のライヴを打つ……。設定同様上演劇場も、これ迄の300〜400席から700席のキャパにグレードアップされました。プロセニアムをしっかり備えた劇場らしい劇場で、二階席迄あります。しかしステージと客席が近く感じられる。イツァークのコールを受け、専用カメラマンをひきつれ客席後方から登場したヘドウィグが通路を練り歩く。カメラの映像はステージ後方に映し出される。アイラインとグリッターで彩られたヘドウィグの誇りに満ちた顔、その臨場感と言ったら!
この映像使いの演出は随所に効果を発揮していた。『Junk Yard』の舞台セットは、タイトル通り廃車置場(美術:キム・テヨン)。実物大…というより実物だったのではないだろうか、舞台後方を埋め尽くすように積み上げられた数多の廃車を、ハンディカメラによるライヴ映像、プロジェクションマッピング仕様によるイメージ映像が華やかに彩る。ステージに置きっぱなしになったトレイラーハウスはハンセルと母が暮らした部屋、アメリカへ渡ったあとの孤独な部屋、トミーとヘドウィグが過ごした部屋へと姿を変える。自動販売機のコーラはヘドウィグの喉を潤し、観客へと撒き散らされる。役目を終えたステージが、ヘドウィグたちにより甦る。ピンスポットが描く弧も美しく、ライティングも絵画のよう。
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04月30日(土)
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