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by kai
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■『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧』+2015年いろいろ十傑やらなんやら
『DENKI GROOVE THE MOVIE? ―石野卓球とピエール瀧』@バルト9 シアター8
わあああ〜そ、走馬灯。うえーん。電気グルーヴが映画になりましたよ! このふたりには、大げさじゃなく同時代を生き、音楽シーンの変遷(あるいは彼らが起こした変革)を見せて+聴かせてもらってる、と言う実感があります。アルバムもインディーデビューからリアルタイムで聴いているし……静岡産の狂人がひたすら音楽に向かう、唯一無二である「電気グルーヴ」の25年を追うドキュメンタリー。
構成は丁寧で、痒いところに手が届く。昨年のフジ、グリーンステージでのライヴを基点に、初ライヴ等の過去の貴重な映像(初公開のものも多い!)、関係者のインタヴューが挿入される。バイオグラフィとディスコグラフィが非常によく整理されている。
細かいところを言うと、卓球が指摘していたとおり『FLASH PAPA MENTHOL』がなかったことのようになっているし、卓球に重要な影響を与えたラブパレードやその周辺のシーン、そして田中フミヤのことにも触れてほしかった。しかしそんなことを言い出せばキリがないし、大根監督が言うとおり「映画という形には出来ない」。劇場公開される映画としてのバランスは、これがベストだったのだと思います。KAGAMIくんのことにもちゃんと触れてくれていたしね。ひとつ気になったのは、CMJKの脱退会見って全裸だったっけ? 全裸で出ようとしたら怒られて、半透明のプラスチックのコップに入れて(何を…とか訊くな)出たんじゃなかったっけ? それとも会見は全裸で、そのあとコップに入れて写真撮影したんだっけ? と言う……こんなことを年の瀬に(と言うかもはや年をまたいで)延々考えてしまうとは。つらい。ちゃんと憶えてるひといたら教えてくれー。
と言うように(?)彼らはいつもシリアスな局面を昇華する。昇華は見返す、とも言い換えられる。そして笑い飛ばす。
『662 BPM BY DG』は過激で辛辣なラップ、サンプリング、レイヴミュージック。どす黒いユーモア。しかしメロディアス。卓球の声の魅力。面白がる、と言うにはあまりにも聴き逃せない音だらけ。そして『VITAMIN』の確変、あの衝撃は忘れられない。『A』迄の紆余曲折は今でも強烈な出来事として憶えているし、そのことが語られた卓球のインタヴューが載った(映画本編でも「あの卓球が泣き出したので驚いた」とインタヴュアーの山崎洋一郎が語っている)JAPANは未だに手放せない。そして『VOXXX』以降の活動ペース。レコード会社に所属しているからこそ出さなければならない結果と、自分たちのやりたいこと、他の誰もやっていないこと。メジャーシーンでここ迄来るには、数えきれない程の格闘を経て、彼らが通したスジがある。それをこの映画は茶化さず見せている。卓球と瀧の、他の誰にも入れない関係性がしっかり記録されているところにも好感を持った。ゲラゲラ笑い乍ら、胸がいっぱいになる映画だった。それは電気のアルバムやライヴで感じることを思い出させてくれる。音と光をひたすら追う。笑い乍ら涙が出る。手を挙げる。朝の気配を感じているのに、時間の感覚がなくなっていく。音楽に溺れ続けていたいと思う瞬間。
フライヤーやパンフに載っていた、BOOM BOOM SATELLITES中野くんのコメントがしみた。「続ける事って尊い」「勇気を貰いました」。ブンブンの現状を思うと、この言葉の重みを考えられずにはいられない。
余談だが今手元に残っているJAPANは三冊なんだけど、あとの二冊は川辺ヒロシの「16歳(twitterに14歳て書いたけど読みなおしたら16歳だった)の俺が『The Flowers of Romance』のレコードを持って訪ねてくる。そいつがスネないような音を作る」ってインタヴューが載ってる(これもインタヴュアー山崎さんだわ)号と、杉本恭一のベストショット(自分的に)が載っている号です。
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後日こちらに2015年の十傑やら五傑やらもアップします。
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と言う訳で2015年いろいろ十傑やらなんやら。観た順。ベストワンには★印。旧作が含まれていたり同じバンドが何度も出て来たりベストワンなのに★が複数あったりしますが、まあそれはそれで。
■映画
『王の涙』
『薄氷の殺人』
『NICK CAVE 20,000 DAYS ON EARTH』
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12月31日(木)
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