ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『錬金術師』『WAR & POLYRHYTHM REGION 2014 / NEW DCPRG SPRING CIRCUIT』
『錬金術師』@東京芸術劇場 シアターウエスト

ベン・ジョンソンと聞いてえっと思ったのは、一時期スズカツさんが言及することの多かったあの陸上選手のこと。その後山本耕史版『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の翻訳を手掛けた北丸雄二さんが、新聞記者時代ソウル五輪で取材したことをどこかのテキストに書かれていたなあなんてことを思い出していた。

と言う訳で入り口からなんか間違ってる感じですが(笑)、不勉強故今回初めて知りました。陸上選手ではなく、シェイクスピアと同時代に活躍した劇作家・詩人であるベン・ジョンソンの作品だそうです。公演前からスズカツさんがテーマも教訓もな〜いとやたら主張してたのでそうでございますかと言うスタンスで観るつもりで行きました。いやはや楽しかった。

さて開演してみれば、「テーマも教訓もない茶番劇」です、とのご挨拶。徹底してる。そんなこんなで小賢しいことを言うと、この朴璐美さんによる前口上や台詞まわし、口上役の平野潤也さんを黒子的に扱い附け打ちも担当させたところは歌舞伎っぽいなあ、主人のいぬ間に従者がなんかやらかすって構成は狂言ぽいなあなんて思ったり。原作テキストは未読なので、どこからどこ迄がアダプトされたものか、稽古場によって生まれたものなのかは推測に過ぎません(前口上についてはパンフレットでスズカツさんが「原作にはない」と明言)。

茶番劇と称される本編はとにかく騒々しく愉快。絶叫調で音が割れ、聴き取れない台詞も沢山。これは流していいものなんだなと了解し、それでもやっぱり気になるので、販売されていた上演台本を読んで補足。まんまと術中にはまっております。舞台美術はジャクソン・ポロック調でシンメトリー、音楽はボサノヴァ。反復による笑い。そしてやはり組み込まれる雨の音。衣裳がアレクサンダー・マックィーンみたいで格好よかった!と言えば朴さんのボインは『DUMB SHOW ダム・ショー』での浅野温子さんと同じ仕組みかなーなんて思ったり(笑)。そういえばこれも人間てバカねえ、かわいいそうねえって話だったな。

終盤の橋爪さんの口上は、シェイクスピアの台詞にもありそうなものでした。エピローグの前だったんだけど、ここで拍手が起こる程。そして再び朴さんが、茶番にひたすら献身した役者たちを安らぎへと導いていく。まるで一夜の夢のよう、楽しいパーティは帰り道が暖かい寂しさなんだよね。

あー人間て愛しいなあ。おもろうてやがてかなしき…ではないな。悲しくはないよ。しみじみといい舞台でした。個人的には「神様バカ」と橋爪さんがハカ踊るとこがツボにスパーンと入って息吸えなくなるくらい笑った。吐きそうになってやばかった。

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さて『錬金術師』からの〜DCPRG。すずかつさんときくちさんのハシゴって今回で四回目くらいなんだけどなんでだ…なんで一緒の日にやるんだ。何?どっちもAB型だから?(関係ない)そして金田明夫さんは左利きなので、そこらへんも無理矢理結びつけてみよう(根拠どこ)。まあこじつけて何故このふたりが好きかと言うと「それでも人生にイエスと言う」ってとこかなー。自分でも言ってることが判らない。どちらも愛してやまないですよ。

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DCPRG『WAR & POLYRHYTHM REGION 2014 / NEW DCPRG SPRING CIRCUIT』@TSUTAYA O-EAST

「生まれたときからエースで四番」を欠いたDCPRG、今回はトラもいません(これは敢えてのことだと思われる)。ポリリズムのリテラシーをメンバー間で浸透させてから二度目のライヴ、新曲大量投入とのアナウンス。今後の展開は?と臨むつもりでしたが、不測の事態により若干心構えに加わる要素あり。そういうときはそういうときこそのものを聴かせるバンドです。ひとり欠いてる、それでこれだったんだから、エースで四番が帰還したらどうなるんだ?気の狂った指揮官と彼に率いられる傭兵部隊の未来に思いを馳せる。


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05月24日(土)
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