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by kai
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■『鈴木勝秀(suzukatz.)-130524/シスターズ』
『鈴木勝秀(suzukatz.)-130524/シスターズ』@SARAVAH Tokyo

配役は姉=篠井英介、妹=千葉雅子。照明=倉本泰史、音響=鈴木勝秀。テキストはこちらからダウンロード出来ます(まだのようですがいずれアップされるでしょう)。

こちらのコメントにもあるように「女性」の会話劇ですが、性別あんまり関係ないと思う。実のところ。女優×女優、男優×男優、男優×女優で出来る万能さがあります。と言うのも、やはりこのコメントにあるように「現在の自分の考えを書けば、あとは英介さんと千葉さんが僕の中の"女"を見せてくださる」ように書かれているから。他力本願と言いつつこういうところが実は匠の技ですな。自分との対話であり、死者(そう呼ぶなら)との対話。ミステリの手触りを最後の数分で一気に引き寄せる手腕は見事でした。

スタンダードな設定をダイアログの魅力で惹き付ける。その会話のテンポのよさ、内容(問答とも言える)の興味の行きどころ。そしてハコをどのような形式で見せるか。時間はいつなのか、妹はどこにいるのか。観る側は想像する。妹の自室だろうとなんとなく思う。しかし思い返してみれば、そうだと言う根拠は提示されていない。いやーやられたー、と思いましたね(微笑)。この手法はセットがない、背景を設定しないライヴハウスでのリーディング、と言う形式の公演に非常にマッチしていた。レパートリーになるなあ、これは。

以下おぼえがき。

・はーいはーい私も鳥葬がいいー
・でた、「どうでもいい」!(笑)
・「まこと…(ん?)しんぺい……(んん?)ああっ信用出来ない!」ジワジワくる(笑)
・こことか『欲望という名の電車』の台詞のやりとりとかは、観る側の期待と言うかうわーきたー!でたー!て反応がヴィヴィッドで楽しかったわあ

・まさこかわいいよまさこ
・まさこすてきだよまさこ
・妹役の向こう側にいる千葉さんのことをどう見るか、あるいは見ないか
・そして姉役の篠井さん、と言う本体をどう見るか、彼らについて何を考えるか
・役者と言う人間の個人情報は知らなくてもいいことだが、インタヴュー等からにじみ出るそれらが芝居を観ているときどのように影響するか
・そしてその情報を、作家はどう反映させるか。利用と言ってもいい

・スズカツさんご本人が言及しておりましたが、今作は『NAKED』をかなり意識したとのこと。のっけからそうでしたわ。いやあ、憶えてるもんだなあ……
・『NAKED』の登場人物は「マサル」くんと「スグル」くん。つまり勝秀くん(笑)
・で、今回は「かつこ」と「ひでこ」だったりして〜あっはっはなんて思ってたものですが、そういえば真心一座の『流れ姉妹』ってたつことかつこやん(笑)
・で、今回千葉さんが「妹」ってのがまたいいじゃない
・甘えるまさこ、拗ねるまさこ、かわいいよすてきだよ

・篠井さんの「姉」がまた素晴らしくてですね
・ラストの台詞をああ言うか、とその口調、声音に鳥肌がたちました
・生きている間に会うことのなかった妹への接し方。いつ迄経っても歳下であるちいさき者に対するものか、自分が姉であると言う自覚のもとか
・軽口、喧嘩、追及と寛容

・吉本隆明の『開店休業』を読んでいたこともあり、家族、姉妹についていろいろ思うところありました
・父=吉本隆明、姉=ハルノ宵子さん、妹=よしもとばななさん。そして母=和子さん
・今回この本によって、ハルノさんの考えがきちんと形になったものを読めたことは嬉しいことでした
・上記リンクにもあるように、「生きてるときは話せなかった。」
・『シスターズ』の姉妹はどうだろう?姉が生きていたら、こういう会話はふたりの間にあっただろうか
・あと男女限らず長子について。所謂跡継ぎについて。家族で行う日本文化の行事(餅つきとか、豆まきとか)が、家族が途切れることによって消えることについて

・スズカツさんのここ数年の作品に感じる献身性
・愛情と執着のちょっとした違い
・信仰観も反映されますが、ご本人がどこそこで書かれているようにサッカーチームとサポーター、で翻訳すると解りやすいのかも知れないな

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05月24日(金)
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