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by kai
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■『LYNX Live Dub』Vol.1、『Tag of war』Vol.2
『LYNX Live Dub』Vol.1『LYNX』@SARAVAH Tokyo

スズカツさんのオガワシリーズ、『LYNX』『MYTH』『HYMNS』をリーディングで連続上演するプラン。最新作である『CLOUD』も含め、いずれ舞台で連続再演する目標…願いが込められてのプレゼンテーションとも言えるかな。

事前にweb上で上演台本が公開され、「それをダウンロードして(中略)会場内でお手持ちのスマートフォン、タブレットなどで、ご自分も目で追いながら舞台を想像するのがお勧めです。」とスズカツさんからのツイートがあり、スマフォ、タブレットどころか携帯も持っていない自分は暗澹たる気持ちになりましたよ。いずれ携帯端末持ってないと手に入らない情報ばかりになって、公演やってたことを後で知るような情報弱者になるんだろうなーあっはっは(笑泣)。

とは言うものの、まあ頭に入ってるからいいか…と言う傲慢な気持ちもありました。やなファンだわー。せっかく目の前に役者と照明と音響が在るんだから、字面追うよりはそっちを観る、聴くことに集中したいと言う思いも正直あったし、敬意としてもそうしたいです。あと個人的には、近くで液晶画面光らされたりするのが苦手です。スタンディングのライヴ会場だと自分がそこから離れればいいけど、演劇や映画の会場ではそうはいかないですからね。極端な話、字面を追って想像するのは家で出来る…て言うかそれ楽しそう(笑)何時から読むよーて告知して、各自好きな場所で読んで、終わった順に感想ツイートしてくの。で、ひとによって読む速度が違うから、上演時間も違うの(笑)。

とは言え、実際今回のリーディングが『LYNX』初見のひともいる筈。そして上演台本はリーディングのために書き直されたものではない。そうなると所謂沈黙になっているト書き部分で何が行われているかを知るガイドとして、その場でテキストを目にすることが必要な場合もあるのでしょう。それを考慮してのことだったのかも知れません。

登場人物5人に対して、アナウンスされていた出演者は4人。これは当日会場で残るひとりが発表になるのか、それともスズカツさんが出るのか?誰が誰をやるんだろう、と想像する楽しさもありました。入場すると聴こえてくるのはいつものジョン・レノン『Rock 'n' Roll』。フロア中央に椅子が一脚、それを取り囲む形で観客席が設置。かなりの至近距離、最前列と演者は1mも離れていないくらい。これは演者も相当緊張するだろうなあ。

清水靖晃「Washing Brain Machine」が流れ照明が落ちる。現れたのはオレノくん…ん、てことはエンドウがオレノくん?あのopの数分は本当に長い。初演のエンドウ、松重豊さんが「あれ、本当に緊張する。何もしないで数分立っているだけってすごく怖い」と話していたことを思い出す。そのうえこの距離…手とか震えた日にゃあまるみえだよね。しかしオレノくんは静かにそこに在り続けた。ぽーんと自意識捨ててる感じ、見事。そして暗転。

ライヴダブと銘打っていたので『ウェアハウス』のような実験的な要素を前面に出すのかな、と思っていたのですが、今回は上演台本を忠実に再現する、と言うのが狙いだったようです。選曲も三演と同じ、音響も鳴らしどころは同じだったかな。こういう作品があります、と言うプレゼン的な押し出しを強く感じました。配役はオガワ=オレノグラフィティ、エンドウ=田口トモロヲ、ウサミ=山岸門人、イタバシ/アマリ=伊藤ヨタロウ。

興味深かったのは、テキストから逸脱しない、動きに制限がある、イタバシとアマリをひとりが担う、前述のとおりopのエンドウのみオレノくんが体現したところ。そしてこれは事前にルールとして設けられていたことなのか、自然とこうなったのかは判りませんが、会話のシーンで演者は決して目を合わせることがありませんでした。中央に座ってテキストを読むオガワ=オレノくんに、他の登場人物がフロアのあちこちから現れては語りかける。全員、手にしたテキストから目を離さない。しかし数ヶ所だけ、オガワがエンドウを、エンドウがオガワを見るシーンがありました。目と目が合うことはなく、片方が片方を見詰めるといった形です。オレノくんを見るトモロヲさん、トモロヲさんを見るオレノくんの目は、非常に印象に残りました。


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06月01日(金)
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