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by kai
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■『大友克洋GENGA展』
『大友克洋GENGA展』@3331 Arts Chiyoda

会場の3331 Arts Chiyodaは、廃校になった中学校をリノベし2010年6月にオープンしたアートセンター。ギャラリーやショップの他にもさまざまなアートに関わるプロジェクトが進行しているスペースです。カフェ(foodLab)のごはんもおいしかったよー。『大友克洋GENGA展』は1Fのメインギャラリーで開催。デビューして39年、初の総合原画展。

エリアは5つに分かれており、順路は『AKIRA』本文以外(単行本の表紙や扉絵等のカラー原稿はこちらにありました)のマンガ、イラスト、映画仕事をドカンとブチこんだいちばん広いエリア→今回の目玉でもある『AKIRA』全頁展示の3エリア→最後はちょっとおまつりっぽい雰囲気の楽しい参加型スペース。基本原画は壁に額装展示されていましたが、『AKIRA』本文原稿だけは5枚×6段×2〜3列くらいのガラスケースに入っていました。ずらりと並べられたケースの中を立ったりしゃがんだりの繰り返しで見続けるので、足腰にキました(笑)。

幾度か涙がこみあげた。いちばん最初のエリアに足を踏み入れ、壁とエリア内に4本ある柱にびっしりと展示された原画を全景で見たとき。カラー原稿のアクリル絵具を塗り重ねた質感、張り込まれたパントンの切り口の精緻さを見たとき。そして『AKIRA』のストーリーを追ううちに。

原稿の枚数量に加え、その一枚一枚が重く見える。それだけ紙にインクが載っている。スクリーントーンはそんなには張り込んでいない、基本地色で、ここぞと言うときに重ねて削る等の効果で使っている。『ヘンゼルとグレーテル』では全くトーンを使っておらず、ペンの細かい書き込みだけで鬱蒼とした森の風景の奥行きと深みを出している。ホワイトもトーン同様効果として入れているくらいで、修正では殆ど使っていない。そしてモノクロのペンタッチ。フリーハンドと定規を当ててひくストロークを使い分け、筆圧の変化で強弱をつけた線は、手描きだからこその柔軟さで人工物に体温を与える。退きの風景と人物の全身像の比率やアングルは、資料やトレスでフォローしきれない高みからのもの。脳内の風景を、手に、ペン先に落とし込む、執念と言ってもいい力。だいたい壊滅する東京なんて、今のところ誰も肉眼で見たことはないのだ。いずれそれが実際に起こったとき、その光景は大友さんが描いたものと同じなのだろう、と思わせられる。その力。

『AKIRA』展示は鑑賞者列が詰まるのを回避する為か、多分意図的にノンブル通りに並べていない箇所がありました。しかし独立した一枚、ひとコマにすら物語を感じる。そこにはない次の頁を想像することが出来る。それは記憶を辿ることでもあり、絵そのもののドラマを感じることでもある。カオリが死んじゃうところやキヨコたちとアキラが天に昇っていくシーンには、そのひとコマを見ただけで涙ぐんでしまったよ。

そうそう、記憶を辿ると言えば。えーと私の本名カオリなんですけど、アニメではカオリちゃんの役割が原作とちょっと変わってて死に様も違ったんですよね(巨大化した鉄雄に取り込まれて潰される)。で、鉄雄が「カオリぃいい!」と叫ぶんですが、当時友人にその声色で随分呼ばれた。うざかった(笑)。作品は読者のひとりひとりの中に、さまざまな記憶とともに存在し続ける。

そんな個人の記憶が作品に絡んで嬉しかったことは、『童夢』や『AKIRA』の見開き頁を一枚絵で見られたこと(ノドがない!)、初期の繊細な線の細い原画も沢山見られたこと(『ショートピース』の短編群とかもー!)、メトロファルス『オレンジM』、スカパラ×ケンイシイ『ROCK MONSTER STRIKES BACK』、卓球『DOVE LOVES DUB』のジャケットアート、NHK教育『YOU』のタイトルカットがあったこと(この辺りはもー見た途端どんどん脳内BGMが変わりましたよ・笑)、『ハイパーアングルポーズ集SP 怪人』に描きおろした麿さんの絵があったこと(吉祥寺繋がり・笑)。


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04月28日(土)
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