ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■四月大歌舞伎『隅田川続俤 法界坊』
『四月大歌舞伎』第一部@平成中村座
念願の『隅田川続俤 法界坊』!序幕『深川宮本の場』より大喜利『隅田川の場 「浄瑠璃 双面水照月」』まで。歌舞伎観劇の師匠タさんにチケットとって頂いたら竹(椅子)席最前列花道真横(上手側)でした。わわわ有難うございます!!!役者さんたちが花道を駆け抜ける震動は伝わってくるし、真横に座り込んだばあさん役のひとが号泣すると、その声の大きさにビクゥッとなる程の近さ。こんだけ近いと思わず肌のきめをまじまじと見てしまったり、匂いを嗅いでしまいますよ……。
しかも目の前にちっちゃな階段が設置されてて何なん…と思っていたら、松席との境の通路を役者さんが通りその階段から花道にあがると言う。目の前を彌十郎さんと扇雀さんと勘九郎さんと七之助くんがー!七之助くんのお着物の袖が膝にあたるー!や、彌十郎さんの匂いを(以下略)それはともかく彌十郎さんの役、いいひとだったのにあんな殺され方でショック大きかった。法界坊酷い(泣)。見せ場としてはちょー格好よかったよねー、切断された両腕から鮮血真紅の布を舞わせてキャー素敵!あーもー彌十郎さんだいすきー!!
はあはあはあ、それにしても面白かった。お日柄もよく!桜の季節、気持ちのよい晴天、すぐ傍の隅田川では早慶レガッタが開催されており応援合戦の声や太鼓の音が聴こえてきたりして。勘三郎さん「今日外でボートやってるんだよ!」とアドリブで言ってましたが。最後は舞台の奥が開き、完成したスカイツリーと抜けるような青空を借景に怨霊が舞う。舞い上がる桜吹雪、滝のようなしだれ桜、これでもかと何度も何度も撒かれる蜘蛛の糸。途切れることなく続く万雷の拍手と歓声、自然とスタンディングオベーションとカーテンコールが起こる。映像や写真で見ていた光景で、当日もそれを楽しみにして待ってたところもあったんだけど、実際それが目の前で起こるともうなんてえの、そういうことすらも頭から飛ぶと言うか。予想していたことがそのとおりに起こる、筈がないのだ。扉が空いて少しひんやりとした外気が頬に当たる感触があり、紙吹雪も決して同じに散る筈がない。ツケ打ちの音の鋭さも、鼓膜どころか網膜にぶつかるかのよう。そして舞台に立っている役者たちの芸の力に気圧される。
殆どの観客は一演目につき一度しか観にこない。そのたった一度が、そのひとにとってのスペシャルな一度になる公演を、彼らは毎日毎回続けているのだ。尊敬して止みません。
しーかーしー平成中村座最初の演目であったこの『法界坊』、幾度もの上演を重ねていることもあり、遊びどころもふんだんにある。と言うか勘三郎さんめちゃめちゃ好き放題(笑)。この日の橋之助さんいじりはAスタジオの「実は小山三さんが…うっそで〜す」並に勘三郎さんじゃないと言えないネタだったよ……(苦笑)。何が何でも客を楽しませずにはいられないてんこもりのサービスです。勘九郎さんもちっちゃい頃のことを蒸し返されてサンドバッグ状態でしたが、八時二十分の困り眉をピクリとも動かさずただただそれを聴いている勘九郎さんの姿がまたおかしかったよー。
串田さんの演出と美術も、屏風絵をスライドさせることで場面転換を表現したり、大喜利場面での脇役たちの衣裳が桜柄だったり、黒子の自己主張が顕著だったり(笑)と、華やかな見所が満載でした。笹野さんもよかったー。側転にはどよめきと大歓声!一軸のすりかえ場面は勘三郎さんの後に笹野さんが繰り返すんだけど、序盤は同じ行動をとって、その後は違う仕草で笑いを誘う。亀蔵さんのミュージカルもあり(素敵!笑)ドッカンドッカン笑っていただけに、後半法界坊がその温度感のまま次々と殺人を犯す場面は鳥肌ものでした。いやホント地続きなんですよ…何かが起こって豹変する、って感じではない。なんとも異形…いや、今上演しても違和感のない、なおかつ普遍的な人間の暗部を描いた作品です。
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04月15日(日)
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