ID:43818
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by kai
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■『センチメンタルな旅 春の旅』、キアズマ珈琲、『ザ・キャラクター』
荒木経惟『センチメンタルな旅 春の旅』@RAT HOLE GALLERY
チロちゃんの最期の日々。アラーキーのミューズ。ヨーコさんの時と同じように、棺の中の姿も、焼かれた後の骨も撮られている。ヨーコさんと同じように、チロはまっすぐカメラを見てる。日が経つにつれ、明らかに死の影が近付いてくるのが判る。毛づやが悪くなり、痩せて顔がどんどん小さくなり、あのおかっぱのような頭の模様がまるで違ったものに見えて来る。立てなくなる、アラーキーの作った寝床に寝たきりになる。それでもチロはレンズを見てる。絶対に逃れられないその迎えを受け入れ乍ら、最期の最期迄アラーキーを見詰めている。アラーキーはそんなチロを最期迄撮った。
2セクションで、小さい方のフロアではペプシ缶やスプライト缶を潰した“Pecchancola”シリーズと、昨年からの日々のスライド。こちらにはチロと、スタジオで撮られたヌードと、風景の写真が日付入りで淡々と続く。今年の2月からチロの写真が増え、3月5日辺りからは空の写真が続く。ヨーコさんが亡くなった後も、空ばかり撮っていた、と言っていた。
「チロちゃんは春日部のおばあちゃんとこから生後4ヶ月のときにヨーコ(妻)がもらった。」
3月2日、22歳でチロはヨーコさんのところへ行った。アラーキーは今も写真を撮り続けている。
モノクロの写真が続く中、一点だけカラーの写真があった。見慣れたアラーキーんちのベランダで遊ぶチロ。

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芸劇の前に、雑司が谷のキアズマ珈琲に寄っておやつ。キアズマって山下洋輔トリオ?と思ったらやはりそうだそう。手塚治虫が住んでいた並木ハウスの別館を東京R不動産が改装したところで、オープンして一年程なのにもう風景に馴染んでいる感じでした。コーヒーが好みの酸味少ない苦い系でうまかったー。
池袋方面ってこれ迄なかなか行かなかったけど、芸劇が野田さんのホームになったことで、ここにも寄ることが増えるかな。
近くに西洋釣具珈琲店 Reelsと言うお店もありこちらも気になる。何故釣具でコーヒー?

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NODA・MAP『ザ・キャラクター』@東京芸術劇場 中劇場

若干ネタバレあります。

重い。実際にあった事件を扱っている。知った上で観たがやはりキツい。『1996・待つ』でこの事件をモチーフにした1シーンがあって、こちらにも哲司さんが出ていたことを思い出した。台詞にもあったが「ひと昔前の話」だからこそ、スキャンダラスな面にばかり目を向けるのではなく、どうしてこういったことが起こったか、と言う面を冷静に見詰め、落ち着いて考え、忘れないようにしなければならない。そして、繰り返してはならない。しかし、誰もがそう思っている筈なのに、そのひと昔前の話がまた起こりうるだろうと言う予感が強くなっている。どうすればいいのだろう?

パンフレットに野田さんが『世界に通用しないものを創る』と言うタイトルでまえがきを書いている。「日本で育ち、そこで話されている言葉を、時間をかけて知っている者、つまりその土地の文化が体にしみこんでいる者にしかわからないもの」。知ろうとしなければ、手間暇かけなければ知ることが出来ないと言うのは、海外のひとに限らない。今回の舞台は知ろうと進めばその分だけヒントが見付けられる、ヒントが見付かれば感じることがまた増える。

逆に言えば、知りたいことは舞台上だけにあるのではない。言葉、文字、ひとつの漢字が持つ複数の意味。役者が発した音だけで全てを受け取れる訳ではないのだ。だからこそ観劇後に一刻も早く戯曲を読みたくなった(『新潮』7月号で発表されているが、観る迄は読まないでおこうと思っていた)。知ることが増え、知りたいと思うことで作品への理解は深まる。それだけの力がこの舞台にあるとは思うが、しかし作品の全てはここにはない。これは何なんだろう。演劇?戯曲?


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07月03日(土)
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