ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『天保十二年のシェイクスピア』+α
『天保十二年のシェイクスピア』@シアターコクーン
上演時間は4時間!(休憩20分含)予算の都合でA席、上手側バルコニーだったので右向きっぱなしで首ガチガチ!鎌倉行ってから胃腸の調子が最悪!(のろい?)
だったと言うのに面白くて退屈しなくて、満面の笑みで劇場を出たー!前知識をなるべく入れないようにしていたんですが、こういう構成だったんですね、歌あり踊りあり。これならいのうえさんが演出したのも頷ける。パルコヴァージョンも観ておけばよかったなあ。以下ネタバレありです。
シェイクスピア劇の全37作品(最近新たに何作品かが追加認定されましたっけ)を天保十二年のヤクザ抗争に置き換えた群像劇。24場あるので転換がちょっとバタバタしたり、37作品を紹介すると言う大前提があるので話が錯綜する部分もありますが、そこは隊長の台詞にあるように「皆さんの想像力のおかげで」成り立つ。観客の想像力を信じてくれる井上さんの粋と皮肉が嬉しかったな。
ヒーしかし37作品!多分3分の1くらい…いや4分の1?くらいしか出典判ってない…!タイタスとか、どこに入ってた?序盤の腕や脚が飛ぶとこかな…わー何か悔しい!(笑泣)
安易に脚本をカットせず上演する、と言う蜷川さんの作品への敬意と仁義、演出家としての意地と誇りを見た思いもしました。わかりやすさと言う点ではホントにダントツ。親切過ぎるくらい。歌詞も重要なので、聞き逃しても大丈夫なように字幕があったり、過去に自分が演出したシェイクスピア作品の手法を使ったり。“わからせる”、“演出家の解釈はこうだ”とかなりアピールしていたように感じられました。
この“わかりやすさ”は意見が分かれると思いますが、自分は蜷川さんの演出に関してはそういうところが好きなので…。劇場の芸術監督を務め、レパートリーとして上演作品を連発出来ると言うアドバンテージもあると思います。でも、今迄やってきたことから考えれば、それくらいいいじゃんよー(笑)とも思うんですよね。同じ手法を繰り返し使い、“蜷川歌舞伎”と皮肉られることもありますが、それはもうお楽しみの域です。なかったら逆に寂しいです。とか言ってると蜷川さんに怒られそー(笑)
でも、老境のベテランが安易に同じものを作っているとは思いません。最近は役者への愛情も感じられるし、なんだかんだ言っても若手を育てていると思うし。
蜷川さん演出のシェイクスピア作品を観ているひとにはニヤリとさせられる場面も多く楽しめました。きじるしの王次とその両親が、藤原ハムレットと同じキャスティングになっていたり、(マクベスを討った)マクダフ役をかつて演じた勝村さんが、今度はマクベスにあたる幕兵衛を演じたり。
きじるしの王次よかったー。“to be, or not to be.”歴代日本語訳をばーっと語るところがあるんですが、鳥肌たった!藤原くんのテンポよい台詞まわしと、発表年代と翻訳者名を紹介して行く木場さんの間の手が絶妙です。藤原くんは歌がちょっと苦しそうだったけど(喉が本調子じゃない?)声量を台詞回しで見事にカバーしていました。
木場さん格好よかったー。ストーリーテラーであり、民衆の代表でもある。そうそう、この作品はメインキャストの豪華さもすごいんですが、農民や女郎等、市井のひとびとを演じるカンパニーの面々が素晴らしい!その民衆の先頭に立つ木場さんの、場の引き締めっぷりも素晴らしかった。
勿論メインの方々も迫力で。唐沢さんギラギラで。リチャード三世にあたる役どころなので、ずっと背中を曲げて脚を引きずって、の演技。これはかなり身体に負担がかかっていると思います。こせこせした平民が成り上がって行く図式で、かなりこずるいこともするんですが、何故か「のしあがったらろくな目に遭わないだろうけど、ちょっとこいつのいい景色を見てみたいな」と思わせられる魅力もある。
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10月03日(月)
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