ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『高橋徹也 × 小林建樹』1
「元気でしたか?」と恐らく気軽に近況を訊こうとした高橋さんに、「世の中変わってきたので、合わせるのか迷いがありましたね」と、活動そのものについて深い話を始める小林さん。「100%我が道を行ってるように思われてるひとでも迷ったりしてるんですよね」と高橋さん。「ああ、そうかもしれないですね」」と小林さん。「いまいち盛り上がらない……(笑)」「何か話してくださいよ」「僕ライヴはきっちり決めてるんでアドリブ弱いんですよ」「ああ。僕はストーンズが好きなんですけど、あのひとたちいつも終わりが合わないんですよねー。ジャーン、ジャン。……あっあれっ、合わなかった。そういうところが好きなんです」。この噛み合わなさよ……。
そういえば[monologue]のときも、ストーンズの話をしていた。皆でセッションするならビートルズかねえと山田さんが提案したら高橋さんに「僕はストーンズ派なんで」と返された、という。そういう当時の話もしたかったのではないだろうか。デビューが1996年と1999年ということで、「じゃあ俺の方が先輩風ふかしていいんですね」と高橋さん、「いいですよ〜全然♪」と屈託なく応える小林さん。慌てて「いやいや、冗談ですよ……」という高橋さん。高橋さんが拡げたい方向に話が運んでいないように感じる(笑)。
さて、セッション。当初はお互いの曲をそれぞれカヴァーするのかなと思っていて、小林さんのパートがそのまま終わったのであれれ? と思っていた。お互いの曲を一緒に、セッションだったのだ。なんて貴重な。「何をやったら皆が喜んでくれるかなと……」と始まったのは、なんと「新しい世界」。すごいの出してきたな! 美しいピアノの前奏から、1番のヴォーカルは高橋さん、2番は小林さん、ポイントでハモり、転調部分のサビは交互に唄う。演奏に熱が入り、ピアノから楽譜が落ちる。聴いたことのない編成、聴いたことのないアレンジ、そして聴いたことのないデュエット。あの名曲にまだこんな光のあて方があったか。まさにプリズムだ。アウトロで小林さんは「チャイナ・カフェ」と相似性があるフレーズを入れてきた。意識してかはわからない。アナライズの答合わせをしているようでもあった。ただただ、固唾を呑んで見守る。こんなに演奏が終わってほしくないと思ったことはなかった。
ハケる小林さんを見送った高橋さん、「やぁ〜、自分以外の人が『新しい世界』を歌ってるのを初めて見ましたね」だって。「昔話もしてしまったんですけど」40代はアルバムを4枚出し、様々な企画でライヴも出来て充実した10年だったと話し、「とりあえず50まではがんばろうと思っていた」が、創作の泉が涸れることはなく「まだ、まだあるんだ、俺」と思ったと。「これから先のことをいつも思ってやってます」。小林さんも昨年のライヴで「人間の土台は未来によってつくられる」と話していた。ふたりとも前を向いている。最後の曲は「怪物」だった。正体見せてみろよ、君はシャイニングスター、マイフレンド。その対象は自分のなかの怪物か、それとも。
(文字数制限を超えてしまったので(…)分けます、続きは翌日)
01月27日(金)
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