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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■エディ・ヴェダーの休日+小林建樹ワンマンライブ『BLOSSOM』
MCといえば、いいたいことは沢山あるようだったが、観客のことを考えてセーブしているような印象も受けた。「僕がいくらネットのニュースを見て『世界は最悪だ』と思っていても、あれって見ているひとの興味に寄せた項目が表示されるでしょう。だから同じGoogleニュースでも、僕が毎朝見ているものと、犬とか猫が好きでその画像をよく見てるひとが目にするニュースは違う。話が合う訳がない」「食べものの話だとそういうことはあまりないでしょう。だから大根は肌にいいって話をするんです。大根、オススメですよ」。話したのは大体こんなこと。アルゴリズムとエコーチェンバーの功罪をこういうわかりやすい喩えで話す小林さんの優しさに、少しばかりの諦めと投げやりな気持ちを感じて胸が詰まる。
だからなのか、今回の歌には怒りすら感じる場面があった。セットリストに「トリガー」(!!!)が入っていたこと、それが鳥肌が立つ程の名演だったことがうれしく、同時に悲しくもあった。「自分のつくるメロディーは、刻むメロディーと伸ばすメロディーとふたつに分けられる」というアナライズの例として「No.1」と、この「トリガー」を続けて演奏したのだが、そうした自身を分析する冷静さと、現状への激情が同時に差し出される。こちらがドキリとするような溟さを時折見せるのが魅力でもあるが、同時にこのひとが無事でいますように、と祈らずにはいられなくなる。「『BLOSSOM』の出来がいいか自分ではよくわからない。信頼しているひとがほめてくれたけど」「去年は本当にどんどん曲が出来たけど、今は全く曲が出来ない」と話していた。やりきったからこそだと思われるが、今はゆっくり休息をとってほしい。
世界は最悪だ。それでも生きていかねばならない。野田秀樹の著作『21世紀を憂える戯曲集』『21世紀を信じてみる戯曲集』を思い出す。
楽曲提供者として仕事をしていた時代の話もしていたが、90年代の「ファジーな感じ」(ファジーって言葉流行ったよねえと同年代は頷く・笑)を振り返り、今回のアルバムは「綺麗に散らかす」ことにしたとのこと。「コンピュータでつくってると、0.0001くらいの誤差もキチッと揃えられるんですよ。それを敢えてズラしたり」。このひとはずっとポップスを愛し、アナライズに明け暮れている。そして、ポップスを制作することの難しさを追究し続けている。
振り返りといえば「ナナコロビヤオキ」がつくられた経緯についての話は興味深かったな。「自分の曲を、依頼されてではなく自分から唄ってほしいなと思ったのは3人しかいない」。そういうひとと出会えていること、前述の「信頼しているひと」がいること。その存在が小林さんにいることがうれしくもあった。
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(セットリストは公式の更新以降)
Setlist(オフィシャルサイトより)
Ag:
01. ブレス(『Emotion』)
02. 魔術師(『Gift』)
03. 斜陽(『Music Man』)
04. 君はそれが言いたいだけ(『Gift』)
05. 満月(『曖昧な引力』)
06. Scream(『BLOSSOM』)
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Pf:
07. 最初のメロディー(『Blue Notes』)
08. 祈り(『Rare』)
09. No.1(『Gift』)
10. トリガー(『Rare』)
11. ナナコロビヤオキ(『BLOSSOM』)
12. ヘキサムーン(『Music Man』)
13. キナコ’87(『BLOSSOM』)
14. 早春(『BLOSSOM』)
15. 歳ヲとること(『曖昧な引力』)
encore
16. Blossom(『BLOSSOM』)
17. ハルコイ(『BLOSOOM』)
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東京のワンマンライブ🎤
会場にお越しの方は、雨で寒くて、あんまりいい日じゃ
なかったけど、ありがとうございました!
配信の方、楽しんでいただけましたでしょうか。
MCは緊張しましたが、曲は気持ちよく唄えました♫
『BLOSSOM』からの曲、これからも唄っていきますね!
おやすみなさーい☆ pic.twitter.com/Rsc5Hx9N83— 小林建樹 (@TatekiKobayashi) March 15, 2025
小林さんの音楽が聴けたので私は楽しかったしとてもいい日だったよ。雨も好きです
03月15日(土)
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