ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■1988、1992〜1994年の蜷川幸雄
ため息が出るような高い美意識は、同時に恐怖も生むのだと思い知らされる。蜷川さんの新しい定番になる予感(これが初演だった)。大石さんの寝姿が変(手を股に挟んで寝る)。蜷川作品初参加、白石加代子のすごみ。暗闇からバイクで登場、中華鍋を振り作った焼きそばをアテに酒盛りが始まる。漂う芳ばしさに、思わず生唾を飲み込む。五感を刺激する村人たちのインパクトたるや。京劇役者によるパックの浮世離れした美しさ。ベニサン・ピットの持つ空間の力。漆黒の暗闇は森の夜のようで、怖いと同時に落ち着く。『1993・待つ』で登場した砂が再び登場、枯山水にも、魔法をかける草の露にも姿を変える。
制作が定まらず、自主公演として行われた。観客も寄付という形で参加出来た。

1022(マチネ)『ゴドーを待ちながら 男ver.』@銀座セゾン劇場
1022(ソワレ)『ゴドーを待ちながら 女ver.』@銀座セゾン劇場
眠くならないゴドー待ち。設定も台詞も変えていないのに! 上演に際しての肝を掴む、演出家の読み解きの力。蜷川さんにしては音楽も少なかった。西村晃と江守徹の、軽妙なのにスリリングやりとりが刺激的。緑魔子のかわいらしさ、市原悦子の声は少年のようで少女のようで。無垢とチャームは憎めなさでもあるなと思う。

06月16日(木)
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