ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『From the Sea』
競馬場をあとにする。守衛さんが見ている。ゴーグルを閉じられる。旅の終わりがそろそろだと言う予感。どうやって終わるのだろう? 終演後パートナーと話せるのだろうか? 風通しのいい場所に出たようだ、顔が冷たい。肩に手が置かれ、立ち止まるよう促される。ゴーグルが開けられる、広い橋の上から真っ黒な水面を見下ろす。イヤホンから音楽とノイズ、そして月の話が聴こえて来る。曇天なので月は出ていない。判っていてもなんとなく空を見上げる。やがて音が聴こえなくなる。「終了です、ゴーグルをとりますね」と声を掛けられる。ゴーグルとイヤホンを外してもらい、振り返るとスタッフがふたり。パートナーは消えていた。
スタッフからスタート地点に戻る地図を受け取る。パートナーだった役者さんの名前を訊く。お礼を言って笑顔で別れる。パートナーにもお礼を言いたかったな。こういう別れになるとはなあ。自分にとって彼女は「失ったもの」、「伝えられなかったことがあるひと」になってしまった。雨はすっかりあがっている。ゆっくり歩く。途中泪橋を通る。改めて看板を読む。呑み屋を通りかかるとさっきのおっちゃんたちがまだいて、あ、さっきの、と言う顔をされる。
受付に戻るとスタッフが笑顔で迎えてくれる。質問攻めにする(笑)。昼でも同じテキストなんですか? 同じです。明日の当日券ってやっぱり出ませんよね? 出ないんですよ〜。雨大丈夫でしたか? お足下の悪いなか有難うございます。いえいえすごく面白かったです! 来てよかったです。ふと見ると、奥に見覚えのあるひとが座っている。あっ、記事で見た。コンセプト・演出のソ・ヒョンソクさんだ。日本語はどこ迄解るのかな、こちらが話していたこと聴こえてたかな。
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私の相手は女優さんで、夜のツアーだった。これが男優さんだったり、昼だったら印象ががらりと変わりそう。この土地周辺や競馬場に詳しいひとだと、連想されるものごとも違うだろう。参加したひとの数だけ物語が出来上がる。
twitterを巡ってみると『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』を連想したと言う方が複数いた。自分もそうでした。決定的な違いは“役者”の存在。参加者との対話の内容、状況の変化に対応する役者。声も含めた自分の身体をコントロール出来、それらを的確にコミュニケートの手段として扱える、それが役者なのだ。タフなクリエイトだ。すごいことだと思う。
帰宅後死んだようにぐっすり寝ましたわ…やっぱり気を張っていたんだなあ。寝る前「Key West」のMVを観て海繋がり。記憶に残る、忘れたくない一日になりました。
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・韓国のアートを活性化させ、政府も支援する「多元芸術」とは? - 舞台・演劇インタビュー : CINRA.NET
「今回、探していた場所は、『過去の痕跡がたくさん残っているところ』。これを東京の中から探し出すのはとても時間がかかりました。」
(20141109追記:まとめてくださった方有難うございます!)
・『From the Sea』感想まとめ - Togetterまとめ
出演者の方によるまとめ
・『From the Sea』関連私撰まとめ - Togetterまとめ
参加者の方によるまとめ、出演者の方のツイートも掲載されています
11月06日(木)
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