ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』
清水邦夫の書く、寒気がする程の美しい台詞たちを聴けることも嬉しかったです。現代人劇場での初演では出来なかった、本物の老婆が演じる老婆たちの台詞、その説得力。カーテンコールに登場した蜷川さんはしゃんと立っており、笑顔でゆっくりと挨拶していた。幕が降りると舞台側から歓声があがった。パリ公演の幕が無事あがりますよう、そして無事公演が終わりますように。
当日配布された蜷川さんのごあいさつにグッときたので書き起こしてみます。転載に問題ありましたらご指摘ください。蜷川さんの言葉、好きなんだよね…ご本人よく「書けないからすごくコンプレックスある、劇作家に嫉妬してる」って言ってるけど、とても心に届く文章を書かれる。
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「さいたまゴールド・シアター」の問題はすべて「老い」の問題である。
高齢者それぞれの日々の体調。昨日出来たことが今日は出来ないことの不思議。
残る自己嫌悪。それら理解不能なことのすべてを当然のこととして進む勇気。
41人の高齢者がいれば41の問題が存在するのだ。
1971年に「アートシアター新宿文化」で上演された
現代人劇場の『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』の公演は、
鴉婆と虎婆を除いて、全て若い男性によって演じられた。
男性によって演じられた演技はディフォルメされていて面白がられた。
ラディカルな運動の渦中にいたぼくらは
時代とともに消耗し消えてゆく作品をつくろうとしていた。
作者の清水邦夫には、言語を推敲しないで
戯曲を文学として残す気を捨ててくれと言った。
2006年のさいたまゴールド・シアターでの公演は
ゴールド・シアターの人々の演技力を探る実験の公演だった。
ぼくたちは敗北続きの現在を生きている。
今、ぼくらは、平均年齢74歳の高齢者が、
時代によって消耗されることを願った演劇が、
本当の高齢者が演じることで再生されることが可能なのかを実験しようとしている。
さいたまネクスト・シアターの『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』に
「こまどり姉妹」のお二人に出演していただいたことと同じ意味の仕事なのだと
ぼくは理解している。
病気で公演に立ち会えない清水邦夫にかわって
ぼくははじめて清水の作品の何カ所かをカットした。
なぜか痛切な想いである。
蜷川幸雄
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・観劇予報:パリ公演へ向けてスタート!さいたまゴールド・シアター『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』
・saf:【『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』】 蜷川幸雄芸術監督とゴールドのメンバーの囲み取材が行われました。
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・毎度カフェペペロネでは手打ちパスタをいただきましたー。ケッパーとオリーブのトマトソース。帰りにビストロやまのデリで買ったキッシュもめちゃおいしかった!次の目標はデリのお弁当です…あれ事前予約しないと買えないのかしらどうかしら
05月19日(日)
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