ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■折坂悠太『のこされた者のワルツ』
波多野さんによるストリングスのアレンジは、楽曲そのものから曲間のブリッジに至る迄、不穏なハーモニーがあちこちに配置されていた。にも関わらず、不思議と安らぎも覚える。やはり連想してしまうのはギャビン・ブライヤーズなのだった。死の淵は恐ろしく、そして苦しい。しかし死そのものには安息だけがある。そうであってほしいだけかも知れない。エレクトリックの楽器は山内さんのギターだけだったが、リヴァーブを効かせ、テルミンの音かと錯覚するようなスライドバーを効果的に使った「揺れ」と「震え」を内包するロングトーンは、規則的であり乍らひとつとして同じものはない。寄せては返す波、いかようにも形を変える水のようだった。だからあらゆる層の観客の心にするりと沁み渡り、集中を促すことが出来たのだろう。

ここに来れば安心ですよ、なんてイージーなことはいわない。いずれ方舟からは出なければならない。鳩がオリーブの枝を咥えて戻ってくる迄の時間、少しの休息を。そんなときに流れている音楽のようにも思えた。

アンコールは比較的リラックス、笑顔も増え、今月から『みんなのうた』でオンエアされている「やまんばマンボ」を披露。NHKホールで『みんなのうた』なんて絶好のシチュエーションでにっこり。楽しい曲だけど歌詞はちょっぴりさびしくて、マンボといえばの「ウッ!」という掛け声も陽性に振り切れない感じがなんとも不思議な魅力。優しさに溢れたマンボ。

物販の告知がもどかしいようで、「こういう話(宣伝)をしたい訳ではないんですけど……」といったあとハッとしたように「いや、だいじなことですっ。どれもいいものなんです、一生懸命つくったんですっ。気に入ってるんですっ」とフォローを入れたのがおかしかった。人柄が滲み出ている。ショウビズの世界で生きるのはたいへんそうだなあと感じてしまうが、それでも誠実に音をつくり、グッズをつくり、いいものを届けたいという思いはきちんと伝わる。バンド、スタッフ、家族に謝意を述べたあと、「ここにいるひとも、いないひとも、これからのひともこれまでのひとも良い春にしましょう!」という言葉に、このひとの姿勢が表れているように感じた。とてもいい時間だった。

(「やまんばマンボ」のことは書いちゃったけど、セットリストは大阪公演終了後に発表されたら転載しようかな)

(20250413追記)
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    折坂悠太
のこされた者のワルツ
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セットリストのプレイリストを
Spotifyで公開しました 🪑🪟https://t.co/umicLWec6G

photo: Yukitaka Amemiya pic.twitter.com/j0OPz8dzm6— 折坂悠太いんふぉ (@orisakayuta) April 13, 2025

setlist
<第1部>

01. 呼び名

02. ハチス

03. 人人

04. あけぼの

05. 沖の方へ

06. 針の穴

07. 鯱

08. 星屑

09. スペル


<第2部>

10. 世界のつづき

11. 正気

12. 窓

13. 光

14. 朝顔

15. のこされた者のワルツ

16. 鶫

17. さびしさ


<アンコール>

18. やまんばマンボ

19. 坂道

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    折坂悠太
のこされた者のワルツ
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ツアーヴィジュアルデザイン:鈴木聖
写真撮影、動画撮影:塩田正幸
撮影協力:武蔵野美術大学 pic.twitter.com/04uU70okhY— 折坂悠太いんふぉ (@orisakayuta) November 15, 2024
このヴィジュアルも印象的だった。心構えというと大袈裟かも知れないが、どんなライヴになるのかのガイドになった

NHKホール行ったのすごい久しぶりだったなー。帰宅後調べてみたら『東京バレエ団創立50周年記念 祝祭ガラ』以来、11年ぶりだった。代々木公園でデングウイルスを持つ蚊が発見されて、閉鎖された公園を横目に会場に着いたのでした

04月04日(金)
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