ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『高橋徹也・山田稔明 友だち10年記念 “YOU'VE GOT A FRIEND” ─April Fool edition─』
それにしてもフィッシュマンズの「気分」カヴァーよかったなあ。佐藤くんの高音と高橋さんの声って、通じるものがあるかも。とても綺麗な声なのに、奇妙というか怖さも感じるんですよね。高音の響きは丸くふくよか、でも妙に耳にひっかかり、こびりつく。ストレンジな声。山田さんはやはりR.E.M.繋がり(とこっちが勝手に思っている)の「月あかりのナイトスイミング」が胸に迫りました。あと「pilgrim」な。こういうのに弱い。共作含めお互いの未音源化作品も披露。「お互いのファンがどう聴くか」を意識したところもあるようで、高橋さんは「最初の頃は山田くんのファンに『何こいつ』って思われてたところもあったと思うんですよね」なんてこともいっていました。

そして、演奏は勿論だがトークがよかった。そもそもふたりがざっくばらんに話す様子を「見せる」という図が面白い。今回の趣向として「ふたりともステージにいっぱなし。ひとりが唄っているとき、もうひとりはステージにしつらえてある椅子に座りそれを聴き眺める」という仕掛けがあり、演奏が終わるとすぐにその感想をいい合ったり、ツッコんだりする。これが側から見れば非常にスリリング。だってさ、チューニングしてる高橋さんに向かって山田さん、「ねえねえ、なんか喋って場を繋いどいた方がいい? それともこういうときって黙っててほしい?(ニヤニヤ)」とかいうんですよ。怖い!(笑)それに対して「……うるさいなあ」とかいう高橋さん。薄氷を踏み抜くようなトークだわ、これは気のおけない間柄じゃないと出来ないわ。思えばこうやってふたりがしゃべくる様子を目にすること自体が初めてだったので、うわあそういうこといっちゃうんだ! そんなことズバッと訊いちゃうんだ! と、新鮮な驚きがありました。

10年前の対バン迄は、お互いを知ってはいたけど「なんかヤだな」「いけすかないヤツだな」と身構えていたというふたり。デビュー前、映像制作会社に就職した山田さんがアシスタントとして最初に入った現場が高橋さんのMV撮影だった、というのは有名なエピソードですが、ポン出し(撮影に合わせて手動で音を出す)係だった山田さんが、そこで使ったCDシングル「真夜中のドライブイン」を持ち帰り今もだいじに持っているといういい話も聞けました。

そこで悪びれもせず「スターだからね」という高橋さん。その前にお互いの親が音楽を続けることをどう思っていたかという話をしていて、「反対ですという手紙をもらった。『星の数ほどいるからスターというのであって、あなたがそのスターになれるとは思いません』って書いてあって……俺ひとりっ子なのに。もうちょっと優しい言葉をかけてくれても……」と山田さんがいっていたんですね。ふたりの近年のテーマは「謙遜しない」だそうで、褒められたら素直に喜ぶ、素直に有難うということを心がけているそう。いいですね!

山田:高橋くんが死んだらこのシングルCDを……
高橋:まさか売る気?(この思考回路がすごく高橋徹也)
山田:違うよ! 高橋くんの葬式で、って高橋くんが先に死ぬって前提で話してるけど(笑)、このCDを掲げて「これが出会いでした」っていうんだよ!

このやりとりにはウケた。といえば、

高橋:お母さん、地元のレコード屋で俺のデビューCDを20枚とか注文して、「息子がデビューするんです」って

って話をしたあと、

山田:実家の整理してたら、俺が初めて出したCDの入ったダンボールが出て来て。母親が買ってて。ダンボールだよ、100枚とか入るサイズ。100枚て
高橋:そこで張り合おうとする?(この思考回路もすごく高橋徹也)
山田:違う違う、それが全然売れなかったみたいで大量に残ってたの。俺が売ってやる! と思ったんだけどインディーズ時代だから演奏が下手でね……売りたいけどどうしようってジレンマが

ここもウケた。というかどこのトークも面白くてな。笑えるし頷くし切ないし。

高橋:「光の葡萄」は代表曲なんじゃない?
山田:対バンとか、僕のことをよく知らないお客さんの前でやるときに抜く刀みたいな曲ではあるね

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04月01日(月)
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