ID:43818
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by kai
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■十八世中村勘三郎十三回忌追善『猿若祭二月大歌舞伎』夜の部
狂言師左近の時点でもうオーラがあるというか、キリリとした所作にハッとさせられ、まだ短い腕脚でキビキビと踊るその姿に目が釘付け。手獅子をカカカカ、と動かす様子も慣れたもの(に見えた)。一方で、蝶々を追いかける仕草のかわいらしいこと。崖から這い上がってきたのちの舞も喜びに溢れていて、極めて陽気さを感じる。おお、中村屋よ……と口角が上がる。厳しかったであろう稽古もノンシャランと乗りこなしたように見えてしまう、もはや貫禄すら漂う仔獅子。お父上いうところの「ファニーな男」(後述記事参照)、面目躍如です。思えば長三郎丈は勘三郎さんには会っていないんですよね。なのにどうしてか、観客の勝手な思いでしょうが、勘三郎さんの面影を感じてしまった。見てくれではなく、芸の味で。不思議。
勘九郎丈の親獅子は、悲愴感すら漂わせる厳しさを全身から放っており、それが色気すら感じさせるもの。仔獅子を見やる姿には慈愛が満ちている。そもそも踊りに頭抜けた才のある方ですが、常に自分を疑い追い込む姿勢は変わらない。どんなに険しい道だろうか。しかし彼がいるから未来は明るい、きっと。

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・勘九郎、七之助が語る「十八世中村勘三郎十三回忌追善」┃歌舞伎美人
「本当にファニーな男なので、火の玉のような仔獅子をやってくれると思います」
いやまさに!

02月10日(土)
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