ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『高橋徹也 × 小林建樹』1
しかしここでも、演奏を終えると「『告白』でしたありがとうございま〜す♪」ジャカジャカジャカ、ジャーン(ギター)とニッコリ。チューニングをしつつ、「めちゃくちゃ寒いじゃないですかぁ」などと話し出す。このスイッチングは何なんだ、こちらもついていくので精一杯ですわ。しかし「練習の想定以上に寒い」という言葉に、アスリートのコンディショニングを思う。そこから「寒いのに合う曲」と平原綾香さんに提供した「誓い」を。おおおレア! 冬を愛せる楽曲!……私個人は冬がいちばん愛着ある季節なのだが、寒さで苦しんでいるひとも多いので、あんまりおおっぴらにいわないようにしているのだ(ボソリ)。ちょっと胸のつかえがとれた気持ち。

閑話休題、ここでギターパートが終了。ピアノに移り、指慣らしのウォームアップ(ハノンのあれ)から、そのまま「イノセント」の導入へ。これも移調しているかな、運指が結構変わっている気がする。コードの妙に聴き入る。こちらでもフレーズのリピートあり。そのままブリッジで繋げて「最初のメロディー」「スパイダー」。アウトロで「空想故郷」(!)を入れてきた。おおおこれ、音源でピアノ弾いているのはうさヲさんという方なので、ご本人がライヴで演奏するのは初めて聴いた。うさヲさん演奏のYouTube音源はこちら、ご本人による演奏はYouTubeラジオ『ムーンシャインキャッチャー “R”』第13回で断片が聴けます。『鎌倉殿の13人』での政子の話し方に影響を受けているとのこと(!)。大河ドラマ大好きなんですよね。

こちらも一気に3曲演奏し終わってひとこと、「緊張しぃでごめんなさいね」。

ううーん、緊張によるミスと気にしているのだろうか。高橋さんとの会話でも「きっちり決めてるんでアドリブに弱い」「時間通りに出来た〜!」と話していたので、「タイムテーブル通りきっちり進行する」ことを重視しているのかもしれない。もはやそういうのもひっくるめて物語として見られるな……。今月2日にリリースされたばかりの『何座ですか?』を紹介するとともに、その12星座の主旋律を順番に全部演奏。「牡羊座!」「牡牛座!」と矢継ぎ早にどんどん弾いていく。ライヴ前日に「僕は10曲やります」とツイートしていたけど実質22曲演奏しとるがな。しかしここは楽しかった。自分の星座を待っちゃうし、順番が来たらやっぱりうれしくなっちゃう。

「がんばって明るい、陽気な感じでやっていこうと思って」「あまりにも、あまりにも世の中が暗い感じなんでね」「パリピっていうんですかぁ、ああいうの絶対やだ! って思ってたけど、今はそういうのっていいのかもしれないですね」と話し、最後に「祈り」を唄った。少しでも音楽が、世界を明るく照らすように。

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A.Gt.:
01. M&R&R(『Mystery』)
02. Love(『Mystery』)
03. 進化(『Rare』)
04. ヘキサムーン(『Music Man』)
05. 告白(『Shadow』)
06. 誓い(平原綾香提供曲)
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G.Pf.:
07. イノセント(『Music Man』)
08. 最初のメロディー(『Blue Notes』)
09. スパイダー(『Emotion』)/空想故郷
10. 祈り(『Rare』)
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あちこちからはあ、と嘆息。背後のふたりづれは「すごかったね…」「やっぱりすごいね」と話していた。ちいさな台風というかつむじ風のような小林さんの演奏のあと、高橋さんはどう出るか? 折しも王将戦第3局の前日、羽生善治九段のコメントを思い出す。将棋でも後手は若干不利というが……。しかし高橋さんが指してきた駒は、それはもう見事に場の空気を変えてくれたのだった。

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客電が落ち、聴こえてきたのは『大統領夫人と棺』のオープニングテーマ。登場した高橋さんは珍しくシャツをボトムスから出している。普段はカチッとした着こなしなので、珍しいなと思う。リラックスした雰囲気で、彼の部屋に招かれたようだ。SEからそのまま「ブラックバード」へ。第一声でフロアがワァ…(ちいかわ)とした空気に包まれる。


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01月27日(金)
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