ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『アネット』
では、映画の中でヘンリーを葬ったように、観客(群衆)は映画にとって敵なのだろうか。『ホーリー・モーターズ』の、ミシェル・ピコリの言葉を思い出す。「美しさは見る者の瞳の中にある。では、見る者がいなくなってしまったら?」

登場人物たちが任務を終えた。再び還る場所は森だ。言語が混ざり合い、どこの国かも示されないその闇は、カラックスが、そして映画のもとに集う人々(犬も!)が帰る場所だ。「息すらも止めて、ご覧ください」。そこは息をする必要すらない者たちもいる空間。時間も場所も、彼らには意味のないこと。いつでも会える。

犬が吠える。カラックスが呼んでいる。ランタンを手にパレードは続く。彼らの持つ光を道標に、闇のなか目指す。映画へ、映画館へ。傲慢な観客を、映画は受け入れてくれる。

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・『アネット』レオス・カラックスの人生と深く結びつく「変奏」┃CINEMORE
宮代大嗣さんによる愛溢れるレヴュー

・「ミュージカル映画から逸脱しつつも、その枠組みにフィットするような作品でもありたかった」映画『アネット』に描かれるスパークスの“逸脱と継承の美学”┃TURN
「『アネット』がポップスというフレームワークみたいなものに、どこかにフィットするかと問われると、実はどこにもフィットするところがないんだよ。確かに親やすい何かはあるんだけど、だからって、過去に観たことがあるあの作品と似てるね! みたいなのはない。そういうところもスパークスと同じだと思うよ。」
すごくいいスパークスのインタヴューなんだけど一箇所だけ、“デヴィッド・ボウイの「Modern Love」が流れる”のは『ポンヌフの恋人』ではなく『汚れた血』だよ〜

・フランスと日本を映画で繋いだ人、吉武美知子。┃madameFIGARO.jp
吉武さんには『アネット』を観てもらいたかった。いや、きっと闇から観ているだろう

その他こまごまネタは明日の頁に書きます。

04月02日(土)
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