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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『はやし祭り 2021〜SAVE THE CLASSICS FOR THE NEW ERA番外編〜』Day 2 林正樹 × 徳澤青弦
リラックスした(?)おふたりの会話も楽しかった。祭り、提灯から徳澤さんが「屋台は出ないの?」「焼きそばはないの?」。「神輿担ぐんでしょ」「ピアノを?」「そう、ピアノ神輿」「重いよ(笑)」。「出来るか不安だったんでいってなかったけど、実は五日間毎日新曲を発表するつもりなの」「でも明日の曲まだ出来てないの」という林さんに、「じゃあ5曲で組曲になるんだね」とにっこりの徳澤さん。ふたりで演奏するのは「今年初めてじゃない?」「前回って一年前の池袋(『Tokyo Music Evening Yube』)だよね」(こちらに映像アーカイヴ)「ちょっと寒かったよね」「ちょっと……? シビれましたよね……」「主催の豊島区はSDGsに力を入れていて、ステージでいわなきゃいけないメッセージがあったんです。豊島区はこういうことをしてSDGsに貢献していますよ的な。なれないMCを一所懸命して、ふと青弦さんを見たらニヤニヤしていて……」独特な間合いの会話でウケたウケた、和んだ。
けれど、ソワソワと時間を気にする徳澤さん。「換気しないと……」「身に沁みてるんでね」とポツリ。笑顔で穏やかにお話されていたけれど、昨年からのコロナ禍、そしてこの夏の仕事に対する過熱したSNS、それを煽ったマスコミによって受けた傷はこちらの想像も及ばぬ程大きいのだと感じました。林さんは静かにうん、うんと話を聞き、ときにはユーモアあふれる受け答えで場を和ませてくれました。
それにしてもこのふたり、真顔でおかしいことをいうので面白い。ときには互いに翻弄されてニヤニヤしていた。
2nd Setは現代音楽の楽曲やカヴァーを。「僕は専門的な教育を受けていないから、青弦さんが見つけてくる現代音楽を演奏出来るのが楽しい」と林さん、「最近誰も知らないような作曲家の作品を発掘するのが楽しくて」と徳澤さん。一曲目の作曲家は「知ってるひといますか?」とフロアに問うたら手を挙げた方がひとりいて、おふたりから驚かれていた。もう一曲はエストニアの作曲家で……というので今度はどんなのだろうと身構えていたら、おお、これ、知ってる! アルヴォ・ペルトの「Spiegel im Spiegel」でした。ピアノとチェロがまるで連弾しているかのようにフレーズをリレーする、あるいは同じフレーズを奏でる。アイコンタクトで発音タイミングだけでなく、タッチのニュアンスをも共有する。まさに鏡のよう。
『Drift』に興味を持ったきっかけというのが、林 × 徳澤の作品というだけでなくSquarepusher「Iambic 9 Poetry」のカヴァーが収録されていたからなのですが、同じく『Drift』収録のThe Velvet Underground「Venus in Furs」カヴァーも出色。謳うチェロとピアノ、ハコと楽器の残響が伝わる空間。妖艶で憂鬱で美しい。自宅のリスニング環境のショボさも思い知りましたわ……。
「Iambic 9 Poetry」はアンコール(オーラス)。ここ数年の定番のようです。演奏者の微笑とともにふわりとはじまり、線香花火のような激しさと儚さを数分で音にしてくれました。まるで命が生まれて消える迄のよう。一曲のなかに全てがある。矢野顕子の演奏する「いもむしごろごろ」や「ちいさい秋みつけた」を思い出しました。
最後の響きが消える。楽器からそっと手を離し、ふたりでにっこり。暖かい拍手とともにおひらきとなりました。
「Iambic 9 Poetry」の譜面、2段しかなかった。同じフレーズが展開していく曲なのでプレイヤーにとっては2段で充分なのか……それでもひとつとして同じ曲にならない。音楽はいきものだし、ライヴの場は失われてはならない。「Utsuroi」も聴けて嬉しかったな#はやし祭り #林正樹 #徳澤青弦 pic.twitter.com/J5dWtqLhEf— kai (@flower_lens) November 30, 2021
丁度譜面が見える位置だったのでした。林さんは紙、徳澤さんはiPadの楽譜を使っていて、その違いも楽しく拝見。
この夏は多くのひとが傷つけられた。傷はなくならないけど、少しずつ癒していくしかない。「前を向いていこうと思います」と徳澤さん。音楽はいつも傍にある。
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11月29日(月)
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