ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■配信の『M』
・桜のシーンの少年とシの表情をしっかり観られるのも映像の醍醐味。あんな目をしていたのか
・池本祥真さんのシ、つくづくベジャールさんに観てもらいたかった
・それにしてもシ、衣裳替えが多い(笑)
・といえば最初の衣裳替えの着物を脱ぐところ。早替えだから仕方ないけどマジックテープのバリバリって音がしてしまうので、劇場で観たときはちょっと笑ってしまっていたのだけど、この配信では着脱の様子を映していなかったので本当に変身したみたいでよかったな
・ピアニストがピアノを離れる〜ピアニストとシの対峙〜退場を捉えた映像もいい。少年に手を伸ばすピアニストの所作は、何処かへと手を伸ばす祖母に重なる

・少年はシ、祖母、セバスチャンと手を繋ぐ。それぞれが少年をだいじに扱っているように見える。ふわっと包み込むような感じ。役としての少年と、カンパニー唯一のこどもをサポートする感覚と
・セバスチャンと少年の羽ばたきが重なることに気づいて血の涙が出そう

・現場で観ているとき、セバスチャンが与え、シが奪うという規則性がある……と思っていたが、シが最後に少年の赤いリボンを手渡すのはセバスチャンだったというのに気づいてまた血の涙が出そう
・配信がなかったら気づくの十年後とかだったかもしれないと思うと……ひーん

■「禁色」、薔薇の行方
サティ「あなたが欲しい」で幸せそうに踊る登場人物たち。彼らを縫うように歩く、薔薇に手をしたセバスチャンと手を繋いだ少年
シ(ストライプの黒ジャケと白パンツ、中は白のベスト)が現れ手を叩くと、照明のトーンが寒色モノトーンに変わる。能楽で踊る登場人物たち
セバスチャン、少年に薔薇を手渡す→セバスチャンの羽ばたき→シが椅子を持ってきて座る→シが見ている状態で再びサティ、踊る登場人物たち
能楽。椅子から降りたシが舞台前方に正座する少年から薔薇を奪い、左肩を軽く押す→コロリと倒れる少年→薔薇を投げ捨てるシ→シとセバスチャンのデュエット。セバスチャンと登場人物たちの踊りは苦悶の表現に変化する
前方に出てきた水夫が薔薇を取り出し、倒れている少年の上に放る。このときセバスチャンは倒れている少年の傍に跪いている→セバスチャン、薔薇を拾い上げ慈しむ→少年、起き上がり薔薇を手にしたセバスチャンと手を繋ぎ走って退場(ここ迄サティ、最後はメロディが崩壊する)→能楽の囃子と鼓のみでシのソロ

・鼓と謡だけで踊るシのソロ。どうやってリズムをとっているんだろう、と思って観ていたけれど、そのうち「これしかない」という印象に変わってくる
・少年を死に迎え入れたとき、“愛の死”でのシのソロも日本的な所作が多い内容だったが、なんて美しいのだろう。激しく腿を打つ、その音も捉えられていた。素晴らしい
・ドビュッシーの“ファンファーレ”、金管のハーモニーで踊るセバスチャンの華やかなソロから、ティンパニとシンバルのみのイチ、ニ、サン、シ──言葉、精神、力(肉体)、行動(それ即ち死)──のパ・ド・カトル。スリルに満ちた競演

■「鏡子の家」
・上野水香さんと柄本弾さんのパ・ド・ドゥは流石の安定感。鋭利で色気のある、男と女の表現。本当に絵になる。星が、華がある
・【フォト&インタビュー】東京バレエ団「M」上野水香インタビュー〜ベジャールはなぜ“女”という役を描いたのか┃バレエチャンネル
「あの“赤い線”で繋がれていく人物たちは、『女』も含めて、三島の人生を彩った人々なのだと私自身は解釈しています。その場面があまりにも美しいから、やはり踊り終わったあと、そして見終わったあとには、『人生は美しいのだ』と思えるんです。」
・少年が読んでいる雑誌、何だろうなーと思っていたけど確認出来た。『少年世界』でした

・カーテンコール、少年を前に送り出し自分は控えめに一礼するのみのシ。絵になってた

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11月30日(月)
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