ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『Beastie Boys Story - ビースティ・ボーイズ・ストーリー』
アドロックはずっとオリジナル・メンバーに敬意を払っており、特にケイト・シュレンバック(Luscious Jackson(!))のことを気にかけていたようだった。調子こいてた時代にクラブでケイトに会った、でもどちらも知らないふりをした、俺はこんな自分を見られて恥ずかしかった……みたいなことをいっていた。アドロックが主な語り、マイクDが茶々を入れるという感じで進行していたんだけど、時折アドロックが当時のことを思い出して言葉に詰まるような場面もあり、そういうときはマイクDがうまく話を引き継いでいた。最後のライヴは2009年のボナルーフェス。「これが最後になるなんて思ってもいなかった」。MCAが亡くなって7年経ってもアドロックは泣いてしまう。傷は全く癒えていない。

やんちゃな幼なじみが大人になり、社会の矛盾に気づき活動を起こす。青春時代の終わりは誰にでも訪れるが、彼らのそれには大きな痛みがついてきた。MCAは常に進化し続けた。彼のナードな面(インターネットもなかった時代にどこから習得したのか、機材操作の裏技をかなり持っていた)や映像作家としての才能(ナサニエルおじさんね・笑)も紹介しつつ、「最後迄謎の人物だった」とふたりはいう。MCAが亡くなり、ビースティの活動は停まった。新曲はつくらない、ライヴも行わないとふたりは明言した。しかし公式サイトは残っていた。6年の沈黙ののち、彼らは本の出版、トークライヴ、映画、と少しずつ動き始めた。ふたりの人生はまだまだ続く。続く筈だ。彼らがこれから歩む先を見ていきたいと思わせる幕切れだった。

ボーナストラック的に、エンドロールの途中で本編以外のエピソードが入る。これが長い!(笑)来場していたスティーヴ・ブシェミやベン・スティラーとのやりとりもある。前述の中村さんのツイートによると、デヴィッド・バーンも来ていたそう。NYならでは、ニッコリ。

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ビースティは周囲にガチのファンがいたり、90年代のオルタナシーンを追っていれば必ず耳に入ってくる存在だった。クラブに行けばかかっているし、実はアルバムもほぼ聴いている。しかしなんだかんだで縁がなく、一度もライヴを観ることがなかった。8月21〜23日に、今年は休みとなったFUJI ROCK FESTIVALが過去のライヴを配信した。ビースティが2007年にヘッドライナーを務めたときの映像もあった。結果的にこれが日本最後のライヴになった。映像のなかのひとたちは誰もそれを知らない。幸福な時間。長年とろ火だった熱が一気に強火になった。遅すぎた。この映画は渡りに船だった。

ふたりはこれからどうするんだろう……と思っていたら、Public Enemyの新作にマイクDとアドロックが参加しているというニュースが飛び込んできた。そして、
Book. Movie. Music.
Beastie Boys Music is coming out on October 23. It’s a newly revised collection featuring 20 of the band’s classics from their 30+ year career.

It’ll be available digitally, as a 180gram 2LP vinyl set & on CD. You can pre-order now: https://t.co/iCKXaCeLTV pic.twitter.com/Sf3tMjj6hQ― Beastie Boys (@beastieboys) September 3, 2020
新編集のベストアルバムのリリースが昨日発表された(書いてるのは9月4日)。あまりにも絶妙なタイミングで悶絶している。曲は残る、人生は続く、Joyも続く。

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・Beastie Boys Story ― Official Trailer | Apple TV+


・スパイク・ジョーンズ監督によるビースティ・ボーイズの新ドキュメンタリー映画『Beastie Boys Story』がApple TV+で公開決定┃uDiscoverMusic
・ビースティ・ボーイズのMCAことアダム・ヤウク:音楽家であり監督でもある彼の痕跡と革新的生涯┃uDiscoverMusic
・大ファンのANIも驚き&再発見もりだくさん!『ビースティ・ボーイズ・ストーリー』“あの3人”の軌跡を本人たちの言葉で振り返る┃BANGER!!!

すっかりふりかえりのスイッチが入ってしまって公式見に行ったら今でもちゃんと残っててうれしいやらさびしいやら pic.twitter.com/Fq6cIAkg7B― kai (@flower_lens) August 31, 2020
そうなの、このときのことはよく憶えてる。どれだけ力づけられたか。左が2011年3月17日、右が2012年5月6日


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08月30日(日)
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