ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『hymns』
配役表を見ないまま舞台を観ていたので、陰山さんが登場した途端「わあ、中原中也〜♡」とにっこりしたんですけど(当方湯田温泉の記念館に行き、ゆかりの宿に泊まったくらいには中原好きです)まさか役名もナカハラとは笑いがとまらん。それはともかく、彼の言葉のひとつひとつが沁みた。演出が変わる、演者が変わる。そして劇場が変わる。それにいちばん影響を受けるのは観客で、作り手(出演者、スタッフ)にとってそれらはさほど重要ではないのだ。舞台は現在のアートだからだ。勿論立ち位置が、とか発声の塩梅といった意識の持ちかたは違うだろうが、彼らは今ここでしか出来ないことに向き合っている。それを受けとる観客も、その感想も千差万別。この作品は私のものだ。あなたがそう思えば、そうなのだ。黒い絵も、白紙も。この作品の新しい住人は、そうして観客に微笑んでいる。まさにこれはhymns=賛美歌だ。

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余談で思い出話。初演のとき、同時進行していた『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』にアクシデントがあり、『HYMNS』の千秋楽にスズカツさんが来れなかったんですよね。で、カーテンコールで出演者がいろいろお話してるうちに「本当は今日スズカツさんも来れればよかったんだけど……」とみのすけさんがいいだして、皆してスズカツさんをいじる会(笑)になったんでした。「ザズゥシアターを天に返すんだってー」「ザズゥ出たことないんでよくわかんないけど」とかいってたような。すっかりくだけた空気になって皆笑って、最後にアツヒロさんが「これでひと段落だけど、スズカツさんとはまたやりたい」といってくれた。2015年に閉場した青山円形劇場は、あらゆる方の尽力で再利用されることが決まった。以前と同じ用途で使われるかはまだ分からない。でも、一度もうダメだといわれていたことが覆った。

鈴木勝秀作品が、佐藤アツヒロ主演で、再び青山円形劇場で上演されるのを待っている。それが叶ったとききっと、ライヴ/アートスペースで上演された『HYMNS』、プロセニアムの劇場で上演された『hymns』のことを思い出し、「あの日、あの場でしか起こりえなかったこと」を目撃出来たことに感謝するだろう。そこには“hymns”が鳴り響いている筈だ。

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・鈴木勝秀「hymns」幕開け、佐藤アツヒロ「僕の原点のような作品」┃ステージナタリー
・佐藤アツヒロ、10年ぶりのスズカツ作品出演に喜び「スゴく幸せ」┃クランクイン!
・舞台『hymns(ヒムス)』11年ぶりの開演! 脚本・演出の鈴木勝秀「佐藤アツヒロはピンとくる役者なんです」┃SPICE

・パンフレットにex.青山円形劇場の制作・大島尚子さんのインタヴューが載っているのに感涙ですよ。スズカツさんのサラヴァシリーズにもずっとついててくれた方ですよ! もうね、劇場で見かけると拝みますよね(こわい)

・音響がめちゃいい。いつもいいけど。ホワイトノイズにまたいろいろ入ってる。井上正弘さんの意向かな?
・で、上演される度に忘れてまた思い出してヒイッとなるんだけど、オープニングに爆音で聴けるRED HOT CHILI PEPPERS「Warped」最高よな!!! ナヴァ郎のギター最高よな!!! あ〜あの時期のRHCPにナヴァ郎がいてくれてよかった〜!!!
・根に持つタイプなので何度でもいうが、フルシアンテが復帰した途端掌返して『One Hot Minute』を駄作評価した連中のことは忘れないからなキーッ

04月14日(日)
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