ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ヘンリー五世』
強さと弱さを兼ね備え、悩み乍らも国王として成長していく多層的な魅力をたたえた松坂さんのヘンリー。このキャスティング本当に待ってた! 役と演者の成長が重なる瞬間が観られるなんて、とても幸福なこと。物語への案内人へと姿を変えた、鋼太郎さんフォルスタッフとヘンリーの別れの場面は胸に迫りました。奥行きのある裸舞台のあちらとこちらで、言葉なく視線を交わす。芳醇な時間でした。溝端淳平演じる小憎らしいフランス皇太子、優しい父の顔も見せるフランス王・横田栄司、市民の悲哀としたたかさを体現するピストル・中河内雅貴、ネクストシアターの面々もいい仕事っぷりでした。
戦場のシーン、遠くから聴こえてくるのは機銃掃射の音、戦闘機の音。現在へと繋げるために、その時代にはない音を蜷川さんはよく持ち込んだ。それがまた鳴っている。不意打ちで涙が出た。今後もこのシリーズは、蜷川さんだったらどう演出しただろうと思い乍ら観るだろう。その名残を留めつつ、役者として舞台に立つ鋼太郎さんだからこその演出を頼もしく感じました。残りあと三作、完走出来ますよう。
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・『ヘンリー五世』限定メニューのご紹介┃イタリアン・レストラン「ペペロネ」
おなじみぺぺロネ、劇場併設のレストランです。うまそう……。デザートの「ヘンリーへの贈り物」は劇中に出てくるテニスボールを象っているそうですよ、洒落てる。
帰り道、おじいちゃんふたりが「(戦闘シーン)ありゃすごいな」「若手はともかくベテランはたまらんぞ」「気迫が伝わったな」と熱く語り合っていた。さい芸から与野本町駅へと歩く十数分は、こういう声があちこちから聞こえてくるのが楽しい。与野西中学校前のレリーフ通りで写真を撮るひとも沢山。街がとても賑やかで、ハレの空気を感じてうれしくなりました。住んでるひとには静かな方が日常なのだろうが。キャストの影響力は結構あるんじゃないかな。鋼太郎さんもここ一年でファン層を拡げたし。
蜷川さんが亡くなった直後のさい芸は灯が消えたようで、思い込みかもしれないけど劇場のある街も喪に服しているようだった。その空気がしばらく続いていて、この先どうなるのだろうと不安になっていたものだった。地味に通っていると変化が目につくものです。カフェメニューが縮小したり、営業時間が短くなったりね。大ホールでの公演がある土日曜日でも、街にひとがまばらだったことも。劇場はひとが集まってこそ。これからもいろいろな公演を観に足を運びたい。新しい挑戦を続ける劇場、スタッフに感謝するばかりです。
思い出したように撮ってきたけどこれベニサンピット時代からのやつだよね……ボックスもちょくちょく展示替えされてるかな、さい芸に行くときはお参りにような感覚でこっちの入口から入ってる pic.twitter.com/RA7wuXWgq2― kai (@flower_lens) February 16, 2019
02月16日(土)
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