ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■LOUIS COLE!!!!!
開演がかなり遅れ(スタッフの様子からしてDJが随分延長されたっぽい)期待でパンパンの空気のなか、自作の出囃子とともにルイスは「When You’re Ugly」MVで着ていた筋肉全身タイツに黒のパンツ、吉川晃司かターミネーターかで意見が割れる(笑)サングラスでにょろっと現れたのでした。ウォームアップか、最初にKeyで弾いたフレーズはチャルメラ。ここちょっと記憶が曖昧、いしやきいも〜♪ だったかもしれない。ちょ、どこで覚えてきた! 笑いとどよめきが起こる。挨拶、感謝の言葉に続いて『TIME』からのナンバー「Freaky Times」でスタート。リフ、リフ、メロディ、ドラムソロ。ルイス・コールといえば、の構成。待ってましたと言わんばかりにフロアから歓声が飛ぶ。

ぽそぽそしゃべり、ぱたぱた弾いて、ばたばた叩く。たびたび説明あり。今何を操作してる、ベースラインを録ってる、このソフトでループさせてる、唄います、間奏です、さてドラムに行きますよ、叩きますよ〜。どのようにして音が重ねられ曲が出来ていくかの見える化が歴然、MVどおりの痒いところに手が届きまくるプレイ。そして唐突に始まり唐突に終わる、ひょろ長い腕を振りまわすダンス、ダンス。どなたか書いてたけど「独演会」という言葉がぴったり。そして例のシンバルは、スティックを投げつけて鳴らすためのものだった。バシャーン、見事命中、フロア大ウケ。

それにしてもなんというか、言葉は悪いがせわしない。シーケンサーや他のプレイヤーに任せてドラムだけ、歌だけに集中したらさぞ高クオリティなライヴになりそうなものを、ハイパー・マルチスペック・アーティストの名に恥じぬ全部自分でやりますステージ。そして余韻に執着することがない。幻想的なハーモニーやコアッコアなリズムを矢継ぎ早に繰り出し、フロアが興奮、陶酔していると「ハーイ出来上がり〜、じゃあ次ね」とバッサリ。美しいアウトロが印象的な「Night」をあんな終わらせ方するかね(笑)。

シャイな性格の裏返し? あふれまくるサービス精神? ひとつに凝り固まりたくないのか、ユーモアは絶対不可欠という信条か、もしくはDIYでやってきた矜持の現れか。ひとを喰った感じはしないんだよね……あれが標準仕様な様子。5月のソロでも感じたけどギークっぷりが強烈で、やっぱりどこか閉じている。でも独りよがりじゃなくて、フロアの反応にとても敏感。「When You're Ugly」の前には「このタイトル、友だちに『俺/私のこと?』」ってよく訊かれるんだけどそうじゃないし、皆のことをいってるんでもない。ここにいる皆はセクシーだと思う」なんてことも話してましたね。それをニコニコして聴いているオーディエンスもシャイなひとが多かったような感じがしたな。とっても盛り上がるんだけどバカ騒ぎする輩はおらず、様子をじっと窺ってる感じ。

やはりいちばん盛り上がるのはドラムパート、スツールに移動すると大歓声。「Bank Accont」後半のスロー/ファストは圧巻でした。遅いクリックを鳴らしていても、そのクリックを128分割したグリッドが脳内にあるんじゃないかというリズム感。ギアチェンジの際、アクセントを「置く」感覚。みるみる複合リズムが併走していく。オープンハンドの演奏スタイルに左利きかと思っていたんだけどキックは右脚だし、左右どっち起点でも自在にリズムを操っている。力む様子は全くない、しかし繰り出される音は太く、芯にヒットしてる感じ。YouTube発表のMVがバズッたばかり、ホーンセクションがバリバリに格好良かった「F it up」もひとりで、音の隙間にドラムをぶち込んでやりきって、これがまー格好いい。KNOWERでもエレポップ/バンドセッションと2ヴァージョンで楽曲の魅力を多角的に見せてくれますが、そのワザをここでも。ルイス・コールという多面が過ぎる魅力を堪能したステージでした。

いやーもう隠し玉とはいってられないでしょう、編成によっては大バコも湧かせられる。次はビッグバンドを呼べるんじゃないかな? 呼んでほしい! Beatinkさん期待してます!!! といいつつも、あの「閉じた」感覚はずっとだいじにしてほしいなと勝手なファンは思うのでした。

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セットリスト(setlist.fm)
01. Freaky Times
02. Thinking
03. Bank Account
04. Phone
05. Everytime

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12月13日(木)
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