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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FUJI ROCK FESTIVAL '17』1日目 その2
ゴリッゴリのリフがゴリッゴリに連発されるゴリッゴリのゴリッゴリで、感想といえばもう最高かばっかりなんですが、ふと思い出したのは、アベフトシが亡くなったときに鮎川誠が寄せたコメント。「リズムを刻みながらリフを入れていくスタイルっちゅうのは、ほかからお呼びがかからんギタリスト」「ひたすら刻む。それがロックの基本っちゅうのはみんな当たり前と思っとるけど、どうしても派手なところに目がいってしまう」「そうやって弾くのはストイックやし大変やし」。バンドに必要とされ、バンドサウンドに献身的ともいえる音を出しつづけるギタリストについて。リフの積み重ねが強度に繋がる、バンドならではの音の塊について。
Qには最大三人のギタリストがいる。曲によっては三人がユニゾン、あるいは三度、五度違いで同じリフを刻む。刻みまくる。ときには絡み合う。ゲストを多数迎えて活動してきたQ。旧友ニックがいない今、長年「ジョシュのプロジェクト」というイメージがあったQ。しかし、今回観たのは「バンド」だった。バリッときめたスーツとともに演奏もスタイリッシュなトロイ、曲に応じて楽器を持ちかえ、レコードのサウンドをライヴで甦らせるディーン、ワンパクか! といった挙動乍ら安定のベースを弾くマイキー。五人が一体となったかのような音の塊。「Sick, Sick, Sick」とかもー、低音のリフでゴリッゴリに進んだあとにはペンペン草も生えませんってな破壊力でした。戦車か。この日のハイライト。
そしてセオドアのドラム! 長年デイヴ・グロールのイメージがしみついていた『Songs For The Deaf』からの楽曲を今の音で聴くことが出来た。特に「A Song For The Dead」はデイヴの音からやっとこ更新出来ました。ソロもよかったねー。おっもい音がもたって聴こえたりもするのですが、いやいやこのリズムが低音リフのボトムだわ。まとわりつくような粘っこさなんですよね。何せ石器時代の女王様、恐竜の歩みで地面もめりこむ重さです。最高か(何度いうか)。
で、ジョシュ。いやーもうーキャーってなもんでな〜。はー。193cm(だそうで。調べた)の長身でくねくね踊り、コームをとりだし乱れた髪をなおすアクション。この俺スタイル、笑いと紙一重のカブキもんだわ。ファッションからして50's(敬意を表して今年はスカシャツ着ていきましたよ!)、その容姿はプレスリー、とクラシックなアメリカを感じさせる格好よさ。あれよね『欲望という名の電車』のスタンリーとか演じさせてみたいですね(笑)。冒頭杖を掲げるアクションも非常に劇場的。それがいちいちキマるもんで、このひと何考えてるかほんと判らない。人間性も見えない。でもこのひとのつくる音は信用出来る。そういう意味では本当に不思議なひとですね。音楽に背景を求めてしまいがちなリスナー(自分もそうなりがちだ……)を拒否するようなスタイルを見せ乍ら、それでも会えなかった十数年を一瞬にして埋めてしまうドラマを用意してくれた。
杖のアクションは演出だったの? と思ってしまう程に踊り、ステップを踏んでいたジョシュの動きがだんだんぎこちなくなっていく。「ラブソングだよ」といって始めた「Make It Wit Chu」はエレピの弾き語りで座奏、このメロウな流れはいいなーと思ったけど、膝の状態を考慮してのことだったのかもしれない。最後の「A Song For The Dead」ではふらつく場面もあり、やっぱりかなり悪いのかも……と思う。そうなるとあのタコ踊り(と呼ばれていた・笑)も、痛みを見せないためのカモフラージュだったのかな。いやあ、しかしあの踊りには笑かしてもらいました。ショウマンシップだね……。装飾なしのステージ、照明も単色の切り替えでシンプルな効果。それでもシビれる格好よさ。ロックバンドの真骨頂、見せていただきました。
三日後、八月のショウのキャンセルがアナウンスされました(Queens of the Stone Age Cancel Outside Lands Set Due to Injury | Pitchfork)。相当キツかったのだろう。それでもきてくれた。有難う、しっかり休んで治してください。そして今度は単独できてください!
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セットリスト(setlist.fm)
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01. You Think I Ain't Worth a Dollar, but I Feel Like a Millionaire
02. No One Knows
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07月29日(土)
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