ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『天の敵』『クヒオ大佐の妻』
生きることに飽き、生きることを憂い、作品はメランコリアに覆われていく。病的に健康、それってなんだ? 食物連鎖から脱し、それでも生きていく方法は? 生きるとは何を指しているのか。『カラフルメリィでオハヨ』の劇中歌を思い出した。♪ぼくたちは100年後にはもういない/いたとしてもかなりヤバい/いつか死ぬ/きっと死ぬ/人間の死亡率100パーセント♪
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おまけ。劇中に出てきた料理のレシピ。『ダークマスター』もそうだし『1993・待つ』の「ねじまき鳥クロニクル」もそうだったけど、芝居で匂いの記憶が残るのって結構楽しい。てか『1993・待つ』って24年も前なのに未だに思い出せるってどんだけ。
3秒クッキングの正確なレシピを、客席の皆様の代わりに写メりました。イキウメ小道具のスーパースタッフ、あさこさんによりますと、カロリー計算は「てきとー」とのことです。詳しくは五味沢さんと橋本先生のお話、聞いてみてください。 pic.twitter.com/ZBbnG7ac1w— イキウメ/カタルシツ (@ikiume_kataru) 2017年5月27日
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『クヒオ大佐の妻』@東京芸術劇場 シアターウエスト
こちらの美術(伊藤雅子)もよかった。映画監督である吉田大八が、一場の舞台を作り込む。
終盤のあるシーンで客席エリアも使う仕掛けがあって、それは後ろから全景を観たかった……何故だの最前ど真ん中の席だったので。なんでこんないい席とれたんだ。その分接近戦には効果絶大、宮沢りえの美貌と、マシーンのような生態(ここぞというタイミングで涙が零れるあの瞳!)にやられっぱなしでした。あと宮沢さんと岩井秀人の絡みが間近で見られて楽しかったですね(笑)。
観ていくうちに舞台の時代設定が2003年だとわかる。いろいろと解釈が出来そうなメタファーがある。待つ女。実在するのかすらあやしくなっていく男。その男にだまされる女、嫉妬する男。清水邦夫や唐十郎、岩松了の作品を思い出す。アングラの香り。古田新太の「宮沢りえは日本最後のアングラ女優」という言葉の裏付けを見る思い。思えば宮沢さんは唐さんの『緑の果て』に出ていたんだった。何気に素地があったなあ。このドラマ、とても好きだった。
水澤紳悟という役者さん怪演だなあ、何者…と思っていたらあの立兄ィの『ぼっちゃん』のひとだった! うへー気づかなかった。ハイバイの女傑? 川面千晶も格好よかったです。このひとのツッコミ大好き。
個人的にはパールジャムの思い出と関連づけられるところがあって図らずもしんみりした。
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とまあ、こういうふうにどんよりとした考えが出てくるのはクリス・コーネルの訃報があったからです。自分の音楽体験に深く関わる人物であり、思いがけない急死とその死因にまだ納得出来ていない。「もう大丈夫」なんてものはなくて、「今は大丈夫」の更新の繰り返しなのだと思い知らされている。いちリスナーですら受け入れられないのだから、近しいひとたちの悲しみとやりきれなさはいかばかりか。エディ・ヴェダーは何もコメントを発表せずツアーに出た。初日の模様を伝える記事を読んだ。彼はいずれ何か語るかもしれない。今後も一切言葉では語らないかもしれない。どちらにしろ時間がかかる。
05月27日(土)
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