ID:43818
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by kai
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■『雨にゆれる女』3回目、アフタートーク
半野さんの高校の同級生に飯田健次って名前の人物がいたのか、登場人物である則夫の同級生に飯田健次という名前の人物がいたって設定なのか、話の流れからは判断出来ませんでした。

Q●ハードボイルドなストーリーに青木さんがぴったりで、松田優作みたいで格好よかったです。ストーリーの流れとともにヒゲがのびていっていたように思いますが、役柄に合わせてそのままにしておいたのですか
青木●有難うございます……そうですね、そのままのばしていて。冒頭の四年前のシーンだけは、本格的な撮影に入る前の冬に撮りました。このときは時間の流れを表すために、ヒゲは剃っていました

Q●サスペンスとして面白く観ました。謎な部分、唐突と感じるシーンもありましたが、それらの省略がよかったと思います。意図的ですか?
半野●そうですね。他人になりすます迄のシーンもですが、説明になる部分はどんどんカットしました。当初のプランから15分……いや、20分くらいは短くなりました

山田撮影監督のトークのときにも思ったけど、初監督でこの潔さはすごいなあ。あれもこれも入れておかなくちゃ、と思わないところ。映画音楽を数多く手がけ、現場を知っているからということもあるだろうし、観客を信用しているとも言える。観る側からすると、省略が謎を呼び、想像力の種となる。この映画のことを思い続ける余韻を生んでいたと思う。

Q●ラストシーンの海岸の映像がとても美しかったのですが、どうやって撮ったのですか? 時間帯は?
半野●夜中、まだ真っ暗な時間から準備して、夜が明ける迄のほんの短い時間で一気に撮りました。台本には台風がきている、と書いていた。天気のことだし、どうなるかわからないし……と言ってたけどホントに台風がきたんです。たいへんな撮影でしたけど、いい画が撮れました

いやほんとあの空と海を捉えられてよかったよねー!

Q●どういうふうに役者に演技をつけたのか、演出方法は?
半野●映像がよかったって言われるのはうれしいけど、演出としては役者、演じるひとの行動原理や生理を第一にしました。役者が登場人物を生きるうえで出てくるもの…表情や動きもそうですけど、肌から発する匂いのようなものも捉えられればと

Q●塩田明彦監督作品『風に濡れた女』がもうすぐ公開されるようなんですが、この映画との関連性はあるんですか? また、セックスシーンを具体的に撮らなかった理由を教えてください
半野●あー、タイトルが。塩田監督が僕のマネをしたんですね(笑)。セックスシーンを撮らなかったのは撮る必要を感じなかったというか、その行為を見せなくてもいいと思ったからです。昔の、セックスシーンを省略した映画の描写を目指したってところもあります

このやりとりちょっと緊迫感があった、質問者もちょっと支離滅裂だったし。ちなみにセックスシーンは私も必要なかった口です。そこに至る迄のふたりのやりとり、言葉と表情で充分だった。ふたりが切実に欲していたものは、一緒に食事をしたりゆっくり話したりといった日常だったのだと思えた。夢幻的な物語でもあるし、セックスシーンがなかったことはこの作品のエレガントさを象徴していたと思います。そうそう、この映画、とてもエレガントだった。タイトルをマネしたってのの真偽はわからず(笑)。

Q●大学をやめて演劇の道に進もうと思っています、アドバイスをお願いします
半野・青木●あ〜、それは難しい質問ですね……(しばらく考える)
半野●でも……やっぱりそれが出来る環境にいるならやった方がいいと思います。僕はパリに住んでいて、移民や難民を多く見ています。彼らは明日生きていられることが夢だ、明日生きていられることが幸せだっていう。日本にもいろいろ問題はあるけど、今日明日生きていられる、ごはんがある、住むとこがある。それらが夢にはならない環境にいるのだったら、やりたいと思うことにとびこんだ方がいい

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12月16日(金)
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