ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『오케피(オケピ)』
そう、当方言葉が解らない訳です。戯曲を頭に入れていったもののそれは初演のものだし、細かいニュアンスは理解出来ていない。それでもとても楽しめたし、韓国の観客のポジティヴな反応がとても嬉しかった。上演中にオーケストラピットを出て行ったメンバーがチムジルバンに行って、ヤンモリ被って戻って来る場面があったり(笑)と、韓国ならではの設定もありました。「ポジティブ・シンキングマン」の韓国語題が「하염없이 긍정맨(とめどなく肯定マン)」となっており、サビはケンチャナなんとか〜と聴こえたので、「だいじょうぶだいじょうぶ」てなちょう前向きな歌詞になってるんだろうな、と想像するのも楽しかった。

演出でまず驚かされたのは、舞台構造が二層になっており従来のオーケストラピットが上に位置していたこと。開幕直後、そのオーケストラピットの紹介らしきアナウンスとともに入場してきたミュージシャンたちが手を振り、観客が拍手で応えたこと。このときジョンミンさんも登場して場を盛り上げていたこと。この幕開けを観たとき、ジョンミンさんがこの作品を上演したかった理由が判ったような気がしました。『オケピ!』は、ショウマストゴーオンという舞台人の矜持を通して登場人物が成長する物語。舞台の裏方、スタッフへの敬意が溢れる作品であると同時に、観客を楽しませる、という思いが詰まった作品。そして彼が演じたコンダクターは、個性の強いメンバー…共演者たちの魅力を引き立てまとめ、自分が影になることも厭わないという役柄。舞台の上から指図され、ピットのなかではトラブル続き。周囲に振りまわされ、右往左往していても、ステージを無事終えられるよう、バンドの先頭に立つ。やれやれと苦笑し乍らも、どこかでそれを楽しんでいるかのよう……ファン・ジョンミンという演劇人の、舞台への思いを改めて知り、胸を熱くした次第です。

それにしてもこのオープニング含め、全方位に目配りが利いたその演出/スタッフワークにも唸った。舞台機構の使い方も絶妙。ステージ上の盆は円柱になっており、その上にオケピがある。場面によって、ソロを唄う演者は円柱から降りて前に出てくる。そのとき盆がまわり、ピットをミュージシャンの背中越しに見ることになる。譜面用ライトのちいさな光はこんなに美しいのだ、と気付く。舞台裏のまた裏、ミュージシャン側からしか見えない世界も見せてくれるこの構造。群像劇で今誰に注意を向ければいいか等、ピンスポットによる誘導もさりげなく丁寧です。いやはや参った。

出演者はジョンミンさん以外知らないひとばかりだったのですが、どのひともよかった〜。皆さん歌にパンチのあること! ハープ役のリナさんは日本初演・松たか子の唄いまわしに再演・天海祐希の立ち姿を持ち合わせていた。いやーホント、センテンスの語尾がお松のグルーヴ! わっとなったわ……。個人的に大好きなナンバーを唄うオーボエ役のソ・ボムソクさん、パーカッション役のチョン・ウクジンさん、どちらも素敵。そしてトランペットな! キム・ジェボムさん、ニヒルでよかった。トレンチコートの裾をいちいちバッ! と翻すアクションもいい。そしてそんな彼らが唄っているとき、満面の笑顔で、そして彼のファンならピンとくるであろう、あの独特の動きでリズムをとり踊っているジョンミンさんのかわいらしいこと。そうそう、ジョンミンさんのナンバー第一声には鳥肌たちましたね。あの歌声だ! あの歌声を生で聴けている! と思って。はー素晴らしかった。

服部隆之による楽曲も堪能、改めていい曲揃いだなと。このプロダクションで日本公演があればいいのに、このキャストレコーディングでサウンドトラック出ればいいのに(日本のすら出てないけどな…告知出たのに延期〜中止になったんだよね……)と思いつつ劇場をあとにしましたよ。観ることが出来て本当によかったです。


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01月09日(土)
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