ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ハムレット』
ただひとつの解釈なんてものはない。それは神と言う存在についても同じだ。何を信じるか、信じるものが違う他者をどう受け容れるか。現在観たからこそ強く感じたのはこれだ。作品が抱えるさまざまな姿、それらが解釈によってどんなふうに姿を変えるか。長い時間をかけて、この演出家に教えてもらった。その演出家のもとで育った井上尊晶、中越司。彼らがいれば大丈夫だと思えた。そして長年ともに仕事をしてきた井上正弘の音響。吉井澄雄、沢田祐二の系譜にある服部基の証明。衣装の前田文子。栗原直樹による、ハムレットとレアティーズのフェンシングシーンも素晴らしかった。彼らの存在は、劇場へ出掛ける迄の不安を取り払ってくれていた。今、この演出、このスタッフ、この出演者で、今の自分がこの作品を観られたことを嬉しく思う。
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その他。
・個人的にはホレイシオの「負けるんじゃないですか、この試合」と言う台詞がだいっっっっっすきで、それを横田さんで再び聴けて嬉しかった!
・「スポンジ」が今回聴き取れなかった。あったっけ……「スポンジくん」は萬斎さん仕様なのでともかく
・河合さんの訳はいろいろと楽しい。「奇ッ怪な!」「どっこい!」「ガッテン」「やっこさん」辺り。しかしポローニアスのあの台詞のリズム、本当に素晴らしい
・ポローニアスと言えば「やられた〜!」の台詞がなかったのは個人的にはよかったです
・ロズギルかわいかった
・ネクストシアターの面々もいい仕事してた。三年前『ハムレット』を演じた役者たちが今劇中劇に生きている、と思える楽しさもあった
・冒頭のホレイシオとともにいる兵士たちがともに長身で、甲冑姿がすごく映えてた。松田さんは美丈夫ですよね。そしてフォーティンブラスを演じた内田さんは痩身で華奢に見えるけど、集団のなかにいると長身が際立つ。いい見栄えです
・高橋洋が演じるホレイシオをまた観たくなったな……
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・彩の国シェイクスピア・シリーズ番外編「ハムレット」:内田洋一(日本経済新聞)
劇評読んで泣くとは思わなかった。観劇予定の方は観たあと読んだ方がいいです。
「西洋演劇と日本人の間に橋をかける、その仕事の集大成」。何故日本様式の演出でこの作品を上演するのか、と言うところにも言及されている。「海外を意識」することは「日本国内を意識」することだ。この演出は、日本に生まれ暮らし、西洋文化に親しんで育った者たちから生み出されたものだ。
内田氏は2012年版の劇評も素晴らしかったので印象に残っているし、信用しているジャーナリスト
・『Hamlet』
・『HAMLET』(1、2)
・『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』(1、2)
web上に現存する過去の自分の感想。河合さん訳と言うことでジョナサン・ケント版も置いておきます。これらを踏まえての、今回の感想です。まーそれにしても文章の青いこと(苦笑)。だからこそ、歳を経る度に同じ作品を繰り返し観て、その感想を残しておくのは楽しい
・ビストロやま|「ハムレット」上演記念特別メニュー
おまけ、こんなんやってます(笑)。あわよくばと思っていたが家出るのが遅れて無理でした……
01月31日(土)
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