ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『東京バレエ団創立50周年記念 祝祭ガラ』
そして『ボレロ』。2003年『奇跡の響宴』のときにも思ったが、生オケはホント難しい。twitterで指摘されてる方がいましたが全くの同感です。『ペトルーシュカ』でもTpがかなり危なかったんだよね…や、難しいのは判るが。判るが……。カーテンコールのとき、思わずオケピをのぞきこんでしまった(二階席で丁度見える位置だった)。Tbの方目の辺りをぬぐってらして…え、泣いてる? と思ったけど気のせいだったかな。タさん曰く「そんなことで泣いてたらプロはつとまらん」。確かにね…しかしああ〜やっちまった! と思っただろうなあ。客席が「……!!!」て声にならないガ〜ンて空気に満ちました。

それはともかく、この日のギエムのメロディはとても優雅だった。これ迄リズムを鼓舞するような力強さだったり、リズムに喰い尽くされる生贄のような艶やかさだったり、ギエムはさまざまなメロディを見せてくれた。ベジャールが亡くなったあとのメロディはここ迄動きを変えていいの? と驚く程自由だった。しかしどのメロディも、マシーンのように強靭だった。ポーズがぴたりと止まる。動きがブレない。サイボーグのようなダンサーと評されたこともある正確さだ。今回もやはり正確ではあったが、感じたのは強靭ではなく流麗だった。引退を発表してホッとしたところもあるのかも知れない。勿論それで踊りが緩むことはない。日々鍛錬するアスリートとしての肉体と、表現を磨くアーティストとしての信念。その身体でしか表現し得ない、ギエムだけの踊り。たったひとりのバレエダンサーが、来年舞台を降りる。

カーテンコールは騒然と言った感じで、悲鳴のような歓声もとんでいた。オケピのひとたちも立ち上がり拍手を贈る。ギエムは微笑んで声援に応えていた。

オープニングでは、東京バレエ団50年のあゆみを振り返る映像が上映されました。ジョルジュ・ドンの『ボレロ』もあった。このときのリズム、上半身も服を着てたのでこういうヴァージョンもあるのかと驚いた。1990年の公演だったとのことだが、近年服着てるの観たことないなあ。会場や演出によって厳密な指定ってあるのかな。

08月31日(日)
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