ID:43818
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by kai
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■『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』
内野さんは流石の貫禄。威厳ある最初の演説、破滅を予感させる最後の演説と詩の朗読。ビッグ・フェラーと呼ばれたひとりの男の一生が凝縮。狂言回しのようなルエリを演じた成河くん、ゲイ(バイ)で詐称も密告も厭わないが、組織への妙な忠誠心も見せる複雑な人物。終始ラウドでオーバーアクション、屈託のない笑顔でゾッとするようなことを言う。彼の言動には釘付けにされた。典型的な差別主義者を演じた黒田さん、劇団ではひとのよい役を演じることが多い印象だったので新鮮。町田さんは鋭い知性、女性の魅力、移民の向上心を持ち合わせた魅力溢れる人物でめちゃめちゃ格好よかった。

ラストシーン、2001年9月11日。コーヒーを飲み、シリアルにミルクをかけて食べ、ラジオで音楽を聴き、制服に着替えて出勤するマイケルの朝の風景。ラジオから緊急ニュースが聴こえてこないところから、WTCの事件はまだ明らかになっていないのだろう。数時間後のことを思う。彼はどうなったのだろう。アメリカ人として殉職したか、それとも? 余韻を残して幕は降りる。マイケルを演じた浦井くんの、決してブレることがなかった透明感は、IRA兵士であり乍らアメリカ市民でもある、ひとりの彷徨える人間の姿に深みを与えてくれた。

『開演10分前、お早めに席におつきください。―― 幕があがるまで、これだけはインプット、3つのキーワード』。入場時チラシ束と一緒に配布された当日リーフレットに記載されていたのは「血の日曜日(ブラッディサンデー)事件」「IRA(アイルランド共和軍)」「グリーン(=カトリック)とオレンジ(=プロテスタント)」についての短い解説。チラシにもIRAに関する解説が載っていた。この作品が日本で上演されること、をよく考えての制作の配慮にもとても好感を持ちました。

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おまけ。

・浦井くんがキルト姿で出て来たときのキラキラッぷりに、会場がさざめいたのが面白かった。グリーン基調のキルトに、オレンジ、グリーン、ホワイトの羽根飾りのついたベレー。王子や! すごいかわいかった。その後あっと言う間に緊迫したシーンに戻り浦井くんはボコボコにされるのですが、ほっとひと息つけた一瞬でもありました。こういう緩急自在な演出って好きだなあ

・下着姿で演技する場面もあった成河くん、町田さん、明星さんの筋肉が綺麗についたふくらはぎを見て、はー舞台にしっかと立つための脚なんだわーとうっとり。堪能

・「人間ってだけの理由で罰したいものなんだ、宗教ってのは」みたいな台詞、グサっときたなあ

05月31日(土)
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